コアマガジン  萌える脳トレ
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STORY紹介

ある日。目を覚ますと、オレは病院のベッドの上にいた。
ベットの横にいた初老の医者が、オレの顔をじっと見つめると、
この状況を説明するでもなく、突然、妙なことを質問してきた。
「……5+8は?」
「は?」
「数式計算だよ。5+8は?」
オレは「バカにしないでください」と言いかけて、一瞬血の気がひきかけた。
わから……ない?
と思った直後、ようやく答えが出てきた。
「……13でしょう。それがどうしたんですか?」
「うーん……、遅すぎるな」
「計算が遅いから、何だっていうんですか?」
オレは医者の言葉に腹立たしい気持ちになって、半分ケンカ腰に尋ねた。
「……きみ、年齢は? 家の電話番号は? 通っていた小学校の名前は? 昔飼っていたペットの名前は? ……すぐに思い出せるかい?」

「……え?」
言われて、オレは今度こそ本当に青ざめた。
思い出せない。
いや、年齢は……、17歳……、高校生だ。間違いない。
電話番号は……、携帯電話に登録してある、はず。
だが、他の記憶は、まるで脳の中で迷子になってしまったように、思い出すことができない。
完成しているはずのジグゾーパズルに、肝心なピースがいくつも欠けてしまっているような、そんな、もどかしくも気持ちの悪い、なんともいえない感覚が、身体中を駆け巡った。
「オレは……、いったい?」
医者は不安気なオレの表情を見て、ようやく重々しく口を開き、オレに突然降り掛かってきた、この厄介な病気について解説を始めた。

曰く、
この病気の通称は「デイ・トリッパー・シンドローム」
記憶を徐々に失っていく奇病であること。
根本的な治療法は確立されていない、ということ。
ただし、頭脳水準を20歳に保ち続けることで、病気の進行が食い止められ、病状が改善されたという報告があること。
治療がうまくいけば、いずれは現在失われている記憶についても回復するだろう、ということ。
そして、医者は最後にこう言って、オレをあっさりと退院させた。
「通院してトレーニングを続けてもいいが、誰かキミを看病してくれる世話人、つまり、トレーニングに付き合ってくれるパートナーがいるなら、自宅でも可能だ。もちろん、定期的に通院はしてもらうことになるがね」

……重い病気なんだか、軽い病気なんだか。
そんなオレの境遇を哀れんでか、有難いことに3人がトレーナーに立候補してくれた。
隣の家に住む幼なじみ。何かとお節介な同級生「細野茉衣(ほその・まい)
同じ家に住む、義理の妹「高橋亜沙美(たかはし・あさみ)
元・オレの家庭教師で、大学病院でインターン中だった「坂本美海(さかもと・みうな)
誰か1人に頼んで、徹底的に管理してもらうのもいい。
負担が重いようなら、日替わりで順番に頼めばいいだろう。
いずれにせよ、オレの記憶が戻るかどうかは、この3人にかかっている。
こうして、3人とオレの記憶を巡る、頭脳トレーニングの日々が始まったのであった……。