コア新書 022
暗黒ディズニー入門
著/高橋ヨシキ
税込定価:968円(本体880円+税) 発売日:2017年3月3日
現実と幻想の境界を破壊するディズニーの魔術
ディズニー映画の魅力は夢と感動…だけじゃない!ダンボを偏愛する悪魔主義者が、ディズニーの本当の楽しみ方を説く!
ディズニー作品はいかにして世界を書き換えたのか?
- 映画史上最大の革命『白雪姫』がすべてを変えた
- トリップの感覚を再現するディズニーランド
- 奇形でなにが悪い!『ダンボ』
- 『メリー・ポピンズ』を“実写”に変えた魔術師
- デヴィッド・リンチに触発された『ノートルダムの鐘』
- 『トゥモローランド』が図らずも描いた悪夢の未来世界
- CGと絵画の融合『ジャングル・ブック』…
ディズニーという言葉は相反するイメージを抱かせます。“夢とファンタジーで満ちた善の世界”を想像する人もいれば、“子供騙しで儲ける資本主義の権化”と思っている人もいるでしょう。
この本の目的は、そんな硬直化したディズニーという言葉を解きほぐすことです。
では、ディズニーの魅力とは一体何なのでしょう。それは、徹底的に現実と幻想を混ぜ合わせたところから生まれ出るものです。
宗教、差別、アート……様々な観点からディズニーの世界を掘り下げていきましょう。
目次
- まえがき
- 第一章 ノートルダムの鐘
ディズニー・ルネッサンスとは
牧師から与えられた「ウォルト」という名
ウォルトは「敬虔なクリスチャン」だったのか?
神の代替物としての「魔術への信仰」
ディズニーシーに掲げられた悪魔のシンボル
アニメーションは悪魔の技術
『ノートルダムのせむし男』映画化の歴史(1)ロン・チェイニー版
『ノートルダムのせむし男』映画化の歴史(2)チャールズ・ロートン版とアンソニー・クイン版
『エレファント・マン』とカジモド︱軟禁されたフリークス
「良きクリスチャン」による迫害
キリスト教の欺瞞を体現する悪役
- 第二章 白雪姫
総統はミッキー・マウスがお好き
ヒトラーが愛した『白雪姫』
『白雪姫』がもたらした衝撃
『白雪姫』の姿の原点
マルチプレーンカメラ︱革命としての『白雪姫』
アニメーション原理主義者による批判
キャラクターが俳優になった︱『キング・コング』と白雪姫
- 第三章 ダンボ
サーカスに売っちゃうぞ
ダンボと差別
ダンボはなぜ驚異的に可愛いのか
「ダンボ」はバカ夫
ダンボの受難
奇形を武器に変える
- 第四章 メリーポピンズ
「実写」と「アニメーション」は区別できるか
マット・ペインティングとは
ピーター・エレンショウ
ディズニー映画の「マット・ペインティング」
強制遠近法
絵の世界に飛び込もう
- 第五章 トゥモローランド
無神論の科学者と、宗教を信じる大勢のバカ
映画『トゥモローランド』と「プルス・ウルトラ」
カラッポな未来都市
ディズニーランドの元型としての〈ワーキング・モデル〉
オーディオ・アニマトロニクスは過去を志向する
自己言及のトイ・ショップ
登場しなかった『スタートレック』
不気味な未来社会エプコット
- 第六章 ディズニーランド
「トンネル・オブ・ラブ」
いかがわしかった「遊園地」
「ディズニー化」された遊園地
ピノキオが描いた猥雑さ
偽りの幸福の「イッツ・ア・スモール・ワールド」
ランド随一のアートなアトラクション
すべてが「ディズニー化」される時代
- 第七章 ジャングルブック
映画における現実と誇張
現実と幻想を横断する「ジャングル・クルーズ」
『ジャングル・ブック』
「マット・ペインティング」の伝統は続く
- あとがき
著者/高橋ヨシキ(たかはし・よしき)
1969年東京生まれ。映画ライター、デザイナー、悪魔主義者。雑誌『映画秘宝』にアートディレクター、ライターとして参加する傍ら、テレビ、ラジオでも活躍。著書に、評論集『暗黒映画入門 悪魔が憐れむ歌』『暗黒映画入門 続悪魔が憐れむ歌』(ともに洋泉社)や、小説『アイアン・スカイ』(竹書房)などがある。