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#030 ばんがいち1997年7月号
written by 華戸小葉子

まりなとソウルセット川辺があー!! 信じていたのに川辺ヒロシ。まりなはスイス人の恋人とやらはどうなったんだ?
【シティ・ボーイズ 1996 「丈夫な足場」〜ビルディング・オン・ア・ストロング・ファウンデイション】小西康陽
1.丈夫な足場
2.16ブルース
3.丈夫なサンバ
4.午後の奥様劇場
5.四月十二日
6.渚ホテル
7.16ブルースを歌う女
8.ナイロビの丈夫な足場
9.夜の奥様劇場
10.ムーグの女王陛下
11.16ブルースよ永遠なれ

total time: 38'16"

 前に「小西康陽の最高傑作」と書いた『愚者の代弁者、西へ』は残念ながら廃盤らしい。だが。トラットリアから2枚も傑作が出た。一枚はシティボーイズのベスト。『西』からは斉木しげるの歌も含め数曲。そしてこちらは、昨年公演のサウンドトラック集。『西』のウエスタン調から一変してジャジー。シリアス。ああ、私はやっぱりシティボーイズの小西康陽が好きだ。暗転で流れるだけなのにこんないいものを。一曲一曲ももちろんかっこいいのだが、アルバムとしても完成されているのでそこら辺の映画のサントラよりずっといい。曲名は後づけなのでしょうもないが。ただ、ジャケがいかにもトラットリアで残念。せっかくだから3人のおじさん達をフィーチャーして欲しかった。あけるといるけど。ちなみにWOWOW放送時は、暗転カットで曲は全然聴けませんでした。
ポリスター PSCR-5597 \2548 1997/04/25

【A(エース)】電気グルーヴ
1.かっこいいジャンパー
2.ヴォルケイニック・ドラムビーツ
3.ポケット・カウボーイ
4.ユーのネヴァー
5.パラシュート
6.ガリガリ君
7.猫夏
8.あすなろサンシャイン
9.シャングリ・ラ
10.スモーキー・バブルス
11.ループ・ゾンビ

total time: 65'51"

 最近まりんがよく喋るようになった。いじめられっ子が自信をつけた後みたいだ。そしてこれは、このアルバムのレコーディングにはいってからである。最高傑作。ピエール瀧はロケで富士山の頂上まで登れなかったがこれは余裕で登っちゃった感じ。もっとも石野卓球に言わせると色々あったらしいが、歌い方はむしろ一番リール。耳に心地よい。歌詞のへんさも気にならない。ちなみにこれは瀧(元野球部)の30代突入記念アルバムでもある。だから「エース」? ジャンルは<野球ディスコ>。ギャグともテクノというワクにとらわれたくないという意思表示とも取れるが、このアルバムがあらゆるテクノの要素を盛り込んだものであることは間違いない(卓球の好きなジャーマンテクノっぽいとこも)。これから、他のテクノ連中に必ずや影響を与えるであろうことも。
キューンソニー KSCZ-184 \2854 1997/05/14

【Fine Feathers Make Fine Birds】UA
ディスク1
1.太陽手に月は心の両手に
2.大きな木に甘えて~mc
3.アイ・フィール・ジ・アース・ムーヴ
4.スウィート・ヴァイブレーションズ
5.ゼリー
6.ビコーズ・ザ・ナイト~mc
7.電話をするよ~mc
8.温度

ディスク2
1.情熱
2.ママ
3.サムバディ・トウ・ラヴ
4.雲がちぎれる時~アンコール1
5.水色
6.ホライズン~アンコール2
7.ハーレム・ブルーズ

total time: 95'21"

 なんで今までこういうライヴアルバムが出なかったのか。登場からアンコールまで、MCも含めた完全版。ビデオならお値段の問題もあるんだろうけど、CD2枚組でこの価格だったらファンなら買うはず。ソウルフルで神がかっていると言っていい程の歌声と、関西ノリなMCとの落差は、中島みゆきとまで申しませんがかなりのもの。この楽しさをたかだか何百人かのライヴハウスのお客さんだけのものにしとくのは、もったいなさすぎ。去年ほんとにクラブでかかりまくっててもういいよーと思った時もあったけど、このライブは(←行った気になってる)良かったです。ヴァイオリンとFIVEコンビのWキーボードもね。ヴォーカルに関しては、レコーディングスタジオできれいにされた声よりこっちの方がより彼女のディーバ的魅力が出ていいと思う。
ビクターエンタテインメント VICL-60030~1 \3360 1997/04/23

【Heaven’s Kitchen】Bonnie Pink
1.ヘヴンズ・キッチン
2.ほほえみの糧
3.イッツ・ゴナ・レイン!
4.ドゥ・ユー・クラッシュ?
5.サイレンス
6.マッド・アフタヌーン
7.ライ・ライ・ライ
8.メロディ
9.ペンドゥラム
10.ゲット・イン・マイ・ヘアー
11.フェアウェル・アルコール・リヴァー
12.ノー・ワン・ライク・ユー

total time: 49'24"

 天才シンガーの名を欲しいままにするボニピンの2nd。だが本人は、天才と呼ばれることが嫌いらしい。確かにシングルはどれも、どんな難しい曲もさらりと歌いこなす実力派って感じ。ところがアルバムの彼女はかわいかったり優しかったり。この春から関東でラジオ番組をもっているが、あまりに大学出たての普通の女の子っぽくて(こぶた好きらしい)、「アーティスト・イメージがあっ」と思って聴くのをやめてしまった。スタッフの意向なのか、シングルカットの曲の彼女はどれも怖い印象。もっと「上手い」以外のキャラで売っても良いのに。担当編集が鈴木祥子に少し似てると行ってた。シングルだけでは出ない感想であろう。プロデューサーはトーレ=ヨハンソン。少なくともカーディアガンズは超えたな。京都(ボニピンの故郷)とスウェーデンって、どこか合うのかも。
ポニーキャニオン PCCA-01083 \2957 1997/05/16

【It’s Brand New】シーガル・スクリーミング・キス・ハー・キス・ハー
1.イッツ・ブラン・ニュー
2.スクール・ランチ
3.ア・タッチ
4.ア・ショットガン&ミー
5.レッド・トーク
6.ア・ショットガン&ミー(リアル・ボディー・リミックス)
7.シー
8.クリーム
9.アイ・フィール・マイ・ハート・ムーヴ
10.クリミナル
11.ダーリン・ヒア・アイ・アム
12.シスター・オブ・ジョイ
13.エルヴィス

total time: 43'23"

 どうもわたしは渋谷の女性ミュージシャンと相性が悪いような気がする。カヒミも苦手だしエリもラヴタン時代のは全部ダメ。唯一ミネカワだけ好きなのは、彼女の音楽性が女っぽくないからだろう(声はともかく)。シーガルである。日暮愛葉というカッコイイ名前の女性である。ジャケが悪趣味しかも今回に始まったことじゃないのは大変良いと思う。このまま独自の道を突き進んでいって欲しいものだが、内容。多分彼女のやろうとしていることはこれなんだろうなーという想像はできるんだけど、目標設定が低いような気がする。なんとなく歌も上手いし、雰囲気もあるからいいじゃん、みたいな。それは確かに少年少女達にはカッコ良く見えるだろうが、そこで終わってしまうのはもったいないだろう。バンド名のようなヒネったセンスが欲しい。ブルージーなとこは好きよん。
ポリスター PSCR-5601 \2854 1997/04/25

【シネ・テクノ“LOVE”】V・A
1.「男と女」~UN HOMME ET UNE FEMME(岸利至)
2.「マイ・ガール」~マイ・ガール(サリー久保田)
3.「甘い生活」~ラ・ドルチェ・ヴィタ(中山努)
4.「小さな恋のメロディ」~メロディー・フェア(岸利至)
5.「恋する惑星」~夢中人(佐藤清喜&寺田康彦)
6.「男が女を愛するとき」~ホエン・ア・マン・ラヴズ・ア・ウーマン(佐藤清喜&寺田康彦)
7.「男と女」~AUJOURD’HUI C’EST TOI(高橋幸宏)
8.「ラストタンゴ・イン・パリ」~ラスト・タンゴ・イン・パリ(岸利至)

total time: 33'23"

 今時のテクノもいいけど、やっぱYMOは良かったなあ…そんなあなたに、"あの頃"をもう一度! 高橋幸宏とそのマニュピレーター岸利至、YMOの元エンジニアで元スクーデリア・エレクトロの寺田康彦、幸宏の一番弟子、高野寛らによるカヴァーアルバム。全曲テクノ・ポップ。しかも映画音楽、ということは全国のモンドミュージックファンも泣いて喜ぶ内容。そのレコーディングはというと、サンプラー駄目、アナログ・シンセのみという規則があったそうな。そのせいか、音楽的にはバラバラの人達がよくぞここまでってくらいまとまっている。XXなんか自分のユニットの時よりいいじゃん。シリーズで出てます。というわけで、モンド好き&世界のサカモトの今を嘆いていらっしゃるD・GのMさん(元YMOカルトキング)にもオススメの一枚。
ポニーキャニオン PCCA-01104 \2548 1997/04/18

【スーパーマグナム】ブロンソンズ
1.マンダム~男の世界(ウッドストック・モーニング編)(with ローリー)
2.大脱走(ブロンソン大陸ミックス)(with スチャダラパー)
3.ロッキーのテーマ(完コピ・ヴァージョン)(with 東京スカパラダイスオーケストラ)
4.マンダム~男の世界(フリー・アズ・ア・バーズ編)(with 真心ブラザーズ)
5.デス・ウィッシュ~ブロンソンズのテーマ(with 桜井秀俊とパイオニアコンボ)
6.エマニエル夫人のテーマ(リアル・スレイヴ・ミックス)(with ASA-CHANG フィーチャリング・ヒゲオヤジーズ合唱団)
7.ラヴ・ウィッシュ
8.ロッキーのテーマ(カラオケ)
9.エマニエル夫人のテーマ(ア・カペラ)

total time: 31'13"

 ばちかぶりの田口トモロヲと大島渚のみうらじゅんによるユニット。既にシングルや雑誌の連作などでお馴染み、正に待望の1stアルバムである。素晴らしい。参加ミュージシャンも豪華。ローリー(寺西)の(1)。アメリカン・ロックの王道。スチャダラの(2)。前シングルカットした同曲とは別ヴァージョン。クラブで聴きたい。スカパラの(3)(8)。完コピということで、キーボードで作るストリングスが予想以上に本物。真心ブラザーズの(4)。フォーク・ロックだそうだ。ばちかぶりを思わせる(5)。桜井秀俊とパイオニア・コンボがパンクに挑戦。ティンパニーの音が感動的な(6)。21人の男性コーラスが涙を誘う(9)。(7)はブロンソンズ自らによる演奏。アンプラグド。以上ざっと紹介したが、あとはあなた自身で聴いてそのクオリティの高さを確かめていただきたい。歌詞以外の。
東芝EMI TOCT-9768 \2548 1997/04/23

【YOUR PAIN SHALL】山本耀司
1.ジョン・ケイル(Your pain shall be a music)
2.オットー・サンダー#1(WorstWard Ho)
3.チャールズ・ロイド
4.リチャード・ビリンガー
5.ヴィム・ヴェンダーズ
6.オットー・サンダー#2(JOHN MAYNARD)
7.ヨウジヤマモト

total time: 43'04"

 高橋幸宏移籍! で、その移籍先がこのレーベル。そしてプロデュースは高橋兄弟とこの山本耀司。本誌読者はあまり興味ないかもしれないが、ヨウジ・ヤマモトといったら、パリコレで活躍する日本で三本の指にはいるデザイナーなのである。そういや幸宏もネクタイを作ったりしてたな。毎年2回のショーをTVで見るのが何よりの楽しみである私が、実は彼が5年前にもアルバムを出していたとは知らなんだ。不勉強でした。今回はムーンライダーズ鈴木慶一と一枚、そしてもう一枚がこれ。ミュージシャンや俳優の語りがはいっている。でも不思議と、彼のショーのBGにしても違和感ない仕上がり(実際のショーでは坂本龍一などが使われている訳だが)。やはり本人ですね。モノトーンで、遠くから見るとわからないんだけど実は細かな仕掛けがいっぱいある、彼の作る洋服の様。
アンゲント・コンシピオ AGCA-10005 \2548 1994/09/15

【FRESH? & YUMMY?】SOUP
1.ホエア・ユー・アット?
2.ミッドナイト・アヴェンチャー
3.エリー
4.イン・マイ・ライフ
5.フリーダム
6.フォー・ユー
7.マイ・エンジェル
8.ファンタジー
9.オール・ライト
10.ゲット・アウェイ!
11.オー・ダーリン(ヒューマン・ドライ・ミックス)

total time: 53'38"

 メンバーを2人から3人に増やしての第一弾。どうでもいいけど珍しいぞ。タイトルは米国生活経験有りのメンバー荒木晋が命名。「新しいだろ?美味いだろ?」といった意味。毎度のことながら黒いです、ハイ。しかも彼らの場合、北海道出身というハンデがあるのに〜。冗談はさておき、彼らはどんな黒さを目指しているのか。ジャンル的にはファンク、しかも「ど」のつくヤツ。ここまではわかる。『情けない男のことを歌った詞』なんだこれはー。ソウルミュージックとかによくある、「俺を捨てないでくれー」みたいなのがいいんだそうだ。かっこ良さの基準て人それぞれ。ちなみにフィクション(←本人談)。あと一人称が女性の詞。こちらは日本語ならではですね。でも歌ってるのはドレッドのアンちゃんだったりするけど。本作が3枚目。ようやく実態が明らかにされてきたいようだ。
BMGジャパン BVCR-786 \3059 1997/04/23

【FIVE】キハラ龍太郎ラムジャムワールド
1.サーチン(フィーチャリング・メロディー・セクストン)(オリジナル・ミックス)
2.ドライヴィン
3.ブラック・ローズ
4.スラッビング・グリッスル
5.ザ・ダスク・ギャザーズ
6.フォロウ・ザ・レインボウ
7.アフロデイジアック
8.オペレーション・ファイヴ
9.サーチン(フィーチャリング・メロディー・セクストン)(ストリングス・ヴァージョン)

total time: 43'38"

 もーう、何年振りかでドラマにハマってる。面白いわこれ。で、面白いドラマのサントラがこれまた奇跡的に面白い。作曲は渋谷きってのメロディーメ−カー木原龍太郎と、ダブからドラムンベースの人になった(?)朝本浩文率いるラムジャムワールドの2組。ただでさえ心拍数の上がるドラマなのにこれらのBGで更に緊張感高まり、心臓に悪いったらない。ドラムンベースって踊りにくいから苦手だったけどこういうとこに使い道を発見。UA以降の朝本はいい感じ。木原は毎週クライマックスに流れるバラード担当のみならず、スパイ映画風ハウスという新ジャンルも生み出した。歌もの担当は佐野元春や武田真治のバックで有名、メロディ・セクストン。ともあれ、ドラマを知らない人にも一聴の価値有り、優れたキーボードもの(プラスアコギ少々)のアルバムになった。
ワーナーミュージック WPC6-5294 \3059 1997/06/10

【オーディオ・ジェット・ライフ】electric grass baloon
1.オーディオ・ジェット・ライフ
2.シャーク
3.スリーパー
4.C
5.オーディオ・ジェット・ライフ(ラジオ・エディット)

total time:27'33"

 エレグラの杉本英治という男はスゴイ。バンド活動をしながら、タイで映画を撮ったりスペースシャワーTVでビデオジョッキーを担当したり第三エロチカの舞台音楽を作ったりしている。あっどういう訳か川村かおりに曲まで書いてた。今回のジャケはトラットリア張りの特殊仕様。デビューEPのUFOが地球を襲ってるイラストも大好きだ。ところで、それらの才能が音楽に生かされているかというと、センスは感じるが……といったところ。一曲目からして10分以上の大作(ミニアルバムなのに)とかやっちゃうあたりは非凡なのだが、もう二工夫ぐらいないとジャンル的に生き残るのは難しそうである。今結構こういうのあるし。音的には聴きやすい。アナログとデジタルのバランスも丁度いい。VJをやってたということなので、ビデオクリップを見てみたいな。
ミディ MDCL-1315 \1529 1997/04/25


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