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#008 ばんがいち1995年9月号
written by 華戸小葉子

ブロンソンズ(田口トモロヲ+みうらじゅん)の「男の世界」がどこに行ってもない。売れてるのか? だったら……うーん、マンダム。
【Life Size Rock】高浪敬太郎
1.self seeking man
2.love hurts
3.ふたりの行方
4.書きかけのlove letter
5.壜の中で
6.君と僕と毎日と
7.bye-bye stomp
8.lullaby for adultchild
9.tears & rain
10.love charm

total time: 42'22"

 CD聴く前に、このタイトルとびっしり蓄えたひげ見て予想はついた。ピチカート脱退後初の彼のソロアルバムは、「元ピチカート」の香りを微塵も感じさせない。でもピチカート時代にもソロ2枚出してんだよ。そのときは冒険のないアルバムだなーって思ったんだけど、何故今になって変身するか。彼がピチカートを辞めて一年近く経つ。その間色々考える時間もあっただろう。ピチカートの音楽に飽きたわけじゃない。でもそれだけをやっていくのも嫌だ。普通そういう人はソロアルバムで遊ぶもんだ。しかしこの人は、そんな時でもピチカートであり続けてしまっていたのだ。美しき虚構の世界もいい。だがそれではライフサイズな音楽は作れない。これは彼が初めて見せた本音である。肩の力を抜いて気楽に付き合っていこう。誰も彼を止めてはいけない。少し残念だけど。
日本コロムビア COCA-12684 \3000  1995/07/01

【CHAT CHAT】嶺川貴子
1.アイ・ラヴ
2.サマータイム・ブルース
3.風の谷のナウシカ
4.クローヴァー
5.ムーンライト・シャドウ
6.マイ・ラヴ
7.ドライヴ・マイ・カー
8.恋のハッピーデート
9.さようならタイムズスクエア
10.アイ・ラヴ(インストゥルメント)
11.ミミ
12.ラヴ

total time: 51'45"

 ナウシカだよー。ノーランズだよー(石野真子とも言う)。誰がカヴァーするんだこんな曲。今や、トレンディドラマの主題歌で今週の第一位ミュージシャンになったエルアール。昔そこには女の子がいました。それが彼女。脱退後はそのキャラクターを生かしてCSの司会などやっていたが、音の方はとんとごぶさた。実は今年の春偶然2を聴いて、もーぅアルバム出る日を心待ちにしていたのである。それ位ちょっとない感じ。カヴァーが多いが、彼女の個性はばしばし伝わって来る。エルアール時代には出せなかったアイディアが、きっとまだ沢山あるのだろう。早くも次が楽しみである(今度はオリジナル多めでね。カヴァーもめちゃくちゃ良かったけど。他にも高橋幸宏の曲などやってるのだ)。
 尚、ナウシカは松本隆・細野晴臣コンビの名曲です。馬鹿にしちゃいけません。
ポリスター PSCR-5381 \2400  1995/06/25

【Yukarie】YUKARIE
1.ストップ・ザット・インタヴュー
2.ベイビー・ラヴ
3.レイニー・デイズ
4.裸足の人形
5.インタヴュー
6.ふしぎ…
7.ブルーバードシング
8.イエロー・ムーン
9.ラヴ・チャイルド・ラヴ・ワイルド
10.永遠の余韻

total time: 50'21"

 一番最初に彼女を見たのはタンゴ・ヨーロッパのメンバーとしておもちゃのCMに出てた時(でもどれが彼女かまでは…)。その頃彼女はキーボーディスト。それがいつの間にやらサックス奏者となり夜ヒット(懐かしー)のバックをやっていた。あれはトシちゃんか。今はスリルの紅一点としてセクシー路線全開。一度は胸が見えたとか。そんな逸話の多いゆかりーな(これはスリルん時の芸名)、待ちに待ったソロ・デビューである(一年くらい前から言ってたもんなー)。渋谷交差点でもビデオクリップ流れてるし。が。え? 歌? 和製キャンディ・ダルファー(女性サックス奏者)になるはずじゃ? 確かに歌もいけるんだけど。インストもはいってるけど。元バンド仲間や現バンド仲間が参加しててにぎやかなんだけど。アルバム自体は悪くないんだけど。やっぱりサックス一本で勝負してほしかったな。
東芝EMI TOCT-8987 \3000  1995/07/26

【WHAT’S NEW】ファースト・インプレッション
1.ラヴ・アフェクション(ニュー・エディット)
2.フィール・ライク・ヘヴン
3.99.8~99.9
4.ダンシング・オン・ア・デイドリーム
5.風の地平へ(ニュー・エディット)
6.ムーヴィン
7.夢で逢いましょう
8.スターティン・オーヴァー
9.グリーン・ヴォイス
10.ウィッシュ

total time: 55'32"

 元ジナラヴの宮田繁男と村山孝志が作った女性ヴォーカル(田仲玲子)バンド。だが参加メンバー(森宣之・井上富雄)も入れると既にこっちの方がオリジナル・ラヴと言っていいくらい(初期のね)。シタール入れたりブラジルしたりと少しは遊びもあるが、ほとんどオーソドックスな作り。言ってしまえば「最近のジナラヴについていけなくなった人の為の音楽」である。そんなことは本人達が一番よく分かっているだろう。脱退の原因については口を閉ざしたままだが、無理に喋らなくてもこのアルバムが答えだろう。田村玲子という女性でクセのない、正反対のヴォーカルを入れたことでもわかる(3はジナラヴ1stの後編だそうだ)。やっと自由になれた。だからこそのファースト・インプレッション(第一印象)、だからこその「WHAT’S NEW」(お久し振り)。
ワン・アップ・ミュージック EPCA-7004 \3000 1995/07/25

【HOUSE FOUNDATION】HOUSE#FOUNDATION
1.ピーク
2.フリー・アット・ラスト(ハウス・ファンデーション・UV・カット・ヴォーカル・ミックス)
3.メッセージ
4.ザ・ルック・オブ・ラヴ
5.ライジング
6.雨が降るまで
7.フリー・アット・ラスト(ディープ・N・ロウ・ドラム&ベース・ミックス)
8.フリー・アット・ラスト(オリジナル・ヴォーカル・ミックス)

total time: 47'14"

 ハウス・ファンデーションという名前からして既に狙っている。1、3、5以外は歌ものだが企画ものが多く、本当はインストがやりたいのでは? とも思える。まずヤラれたーと思ったところ。5のゴンチチ・ハウス化計画。今やほっかいどー♪のCMでお茶の間にもファンを増やしつつあるゴンチチを持ってくるタイミングの良さ。しかも曲がいい。クラブでこれ聴きながら踊ってみたい(ゴンチチで踊れる曲ができようとは…)。4のバカラックのカバーもグー。次に不満が残るところ。和田アキ子の2は前にこの欄でも紹介したが、なんで3ヴァージョンもはいってるのか(曲はいいけど)。シングルに4ヴァージョンもはいってるんだから。とは言え、これが1st。もしかしてこれが一般ピープルにハウスを浸透させてくれる起爆剤になればなんて思ってしまう。色んな人に聴いて欲しい。
ポニーキャニオン PCCA-00769 \2300 1995/06/21

【future leader】SOUP
1.ベイビー!カム
2.ウォーキン・アラウンド
3.サンライズ
4.スターライト
5.シークレット
6.サン&ラヴァーズ
7.ビー・ワイルド
8.アイ・ミス・ユー
9.ウォンデッド・ガール
10.ネヴァー・マインド

total time: 46'54"

 スープの名を初めて聞く人も多いだろう。だがこの1stが出たとたん、レコード店の「当店のおススメコーナー」にパーッと平積みされてしまったのだ、あちこちで。メンバーが二人とも札幌の出であることと、参加メンバーにスティーヴ衛藤(デミセミ・クウェーバー。武田真治のツアー等も)がいることぐらいしかわからない(あと、写真見る限りではかっこよさそーなこと)。で、私も店長のススメ通り買ってしまった訳であるが、いいのだ。ジャンルとしてはファンク。日本語歌もの。ありがちな洋楽受け売りでなく、ちゃんと自分達のものとして消化されている。特に歌がうまいとかいうことはないんだけど、伝わってくる。これ、この手のミュージシャンにはそうないこと。私は、どっちかというと日本語ついてるとお邪魔ーと思っちゃう方なので。でもつい一緒に歌ってみたくなります。
BMGビクター XMCR-1005 \3000  1996/05/22

【ヨーロピアン・エクスペディション】MONDO GROSSO
1.ブッダ
2.イエロー・ノート(ライヴ・ヴァージョン)
3.ピヴォット・スロウ
4.アンガー(ライヴ・ヴァージョン)
5.ヴァイブ・P・M
6.ESPIRITO,ALLEGLIA,EMOSAU
7.インヴィジブル・マン
8.SOUFFLES H
9.ザッツ・ハウ・イット・イズ(ライヴ・ヴァージョン)

total time: 74'42"

 ヨーロッパ・ツアーを成功させた彼ら、ここへ来て初のライヴアルバムにビデオ、さらにはクラブで写真展(しかも昼間)までやったりと大忙しである。昔は本当に売れる気あるんだろうか的活動だったのに。もともと京都のバンドなのだが渋谷にクラブ作ったり、クレモンティーヌに曲書いたり阿川泰子をリミックスしたり(おかげでクラブで阿川泰子を聴くハメに…)、裏方家業の方は凄い。しかも演奏もメチャクチャ上手いのだ。だったらもっとライヴをやれー!! このアルバムを聴くと彼らの実力の程はもちろん、前のミニアルバムでは伝わり切れなかったグルーヴ感が直接肌で感じられる。テナーサックスの中村雅人は前からいいと思っていたが、ライヴ版で大塚英仁のフルートに惚れた! ビデオだと更に鼻血出る程かっこいいので見てね。マンディ満ちるがノドの調子悪くて残念。
フォーライフ FLCF-3572 \3000  1995/07/05

【風がつれてきた季節】岩下清香
1.太陽が嫌い
2.霧の中で
3.いつの日にか
4.ムーンライト・ナイト
5.星くず
6.風に吹かれて
7.灯
8.月がのぼる夜
9.春の海

total time: 41'29"

 前号の予告通り、元フィフスガーデン・岩下清香の1stアルバムを紹介しよう。ラジオで「声が変わってるという事で仕事が来る」ようなことを言ってたが、彼女の声質を最大限生かせるシンプルなサウンドになっている。バックが元ルースターズの井上富雄、米米サポート三沢またろう、元ミュートビート朝本浩文らなのは意外な感じ? 作詞作曲は本人もやってるけど、高木完にヒックスビル木暮晋也だ(井上トミーもはいってるけど)。でもいい感じ。フィフスー時代はヒッピースタイルに気怠い印象だった彼女が、何かを悟ったかのような気高い表情になっている。そしておおらかな声でのびのびと歌う。温泉と睡眠を愛するというのがよくわかる。アーンド彼女は、キャラクターもナイスです。司会の山本シュウが大ウケしてた。ラジオのDJとかやったら面白そうなんだけど。
東芝EMI TOCT-8910 \2800  1995/06/21

【み空】金延幸子
1.み空
2.あなたから遠くへ
3.かげろう
4.時にまかせて
5.空はふきげん
6.おまえのほしいのは何
7.青い魚
8.雪が降れば(ようこさんにささげる)
9.道行き
10.はやぶさと私
11.春一番の風は激しく

total time: 41'26"

 Q盤シリーズが出て喜んでる人は大勢いるだろうけど、この金延幸子は多分、最も普通の人には馴染みが薄く、渋谷系ミュージシャンやDJには人気の高い70年代シンガーだ。渡辺満里奈がライブでカヴァーし、スカパラ青木達之が「お気に入りの1曲」でかける。それが2。名曲である。実は彼女、大滝詠一が初めて人に曲を提供した張本人でもあるが(5)、あとはもちろん彼女自身の作品である。上の岩下清香のアルバムとつづけて聴いても、23年(!)もの年月を全く感じさせない。当時としてもべつに新しいことをやってたという訳ではないだろうが。吉田美奈子とか好きな人には絶対おススメ。このアルバム1枚残して、彼女はアメリカへ行った。そしておととし帰ってきた。ロック姉ちゃんになって。新譜が悪かったんじゃないけど、辛いものがあったなー。きれいだったけど。
東芝EMI TOCT-8963 \1800  1995/09/11

【GIRLGIRLGIRL集大成V 飛翔編】GIRL GIRL GIRL窪田晴男小西康陽桜井鉄太郎
1.ガール・ガール・ガールのテーマ
2.アッパー5がやってきた!
3.ガール・ガール・ガール大賞なんていらない
4.パーティハウス
5.リナのアハーン
6.恋病
7.佐藤ちゃん早弾きですか?
8.佐藤ちゃんの哀愁のヨーロッパ
9.MANON
10.ギンのイェイェ
11.愛の巣窟
12.最高ブルース~最低ブルース
13.ビリンバウ
14.パーカッションとユタカ
15.星に願いを
16.ガール・ガール・ガールのテーマ

total time: 43'01"

 シリーズ第五弾。馬鹿らしさでは今回がピカ1という触れ込みだったが、いやー聴かせます。桜井鉄太郎は西麻布の山下達郎と呼んでいい。タイトルはへんでも名曲! もちろんへんなほうも負けちゃいない。3は街頭インタビュー形式だが、やらせか? 5はどうせセクシーなのはタイトルだけだろうと思って聴くと、結構キてる。そして7、8の連続ワザだな。本人笑いを取ろうとしてないところがたまらない。こんなに曲もギャグ(と言って良いのか…)もちゃんと聴けて、しかも繰り返しに強いのはスネークマンショー以来だ。いつも通りの親切な曲解説(ラジオ当時は番組の最後にまとめてやってた)、これを楽しみにしている人も多いだろう。15はシリーズ始まって以来、泣ける曲。「星に願いを」ではなく、あの曲をカヴァー。このシリーズ、次で最後!? 絶対反対。もっともっとやってくれ〜!!
徳間ジャパン TKCJ-70699 \3000  1995/07/25

【SURF TRIP】SURF#TRIP
1.渚でニトロ
2.ザ・グレイテスト・キング・ラー
3.夏がいっぱいヒ・ミ・ツがいっぱい(謀報メドレー)
4.誘惑
5.#1満月の恋人達〜#2ム−ン・パラドックス
6.パイプ・フィクション2000-5

total time: 28'06"

 ムーンライダーズ白井良明、マルコシアスバンプ佐藤研二、ヒューマンソウルジミー橋詰、レゾナンスヴォックス(渡辺香津美のとこ)島田昌典、スカパラホーンズ、そしてジャズ界から香取良彦。「サーフとジャズの融合!」なんつって去年のクリスマス(なんで冬…)デビューライブをやった時には遊びだと思った。それがラ王だWOWOWだと次々CMも決まり、まさかまさかのアルバムデビュー。超有名な「パイプライン」から知られざる名曲までカヴァー、そしてオリジナル。なにぶんこれだけのメンツだからやってることが深すぎ。何故このメロにこんなベースライン?でもよくわかんないけど凄い、踊りにくいけど気持ちいい! サーフミュージックを根底から覆す一枚。だが。ライヴで一番盛り上がる「エレキでGO!」(スカパラのカヴァー←業界初か?)がはいってないのは何故?
ソニーレコード SRCL-3277 \2200  1995/07/21

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