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2000年4月号
written by 来素果森

20世紀最後のペナントを読む。


 今年もまたペナンと予想の時期がやって来た。20世紀最後の年、チャンピオンフラッグはどのチームの下にはためくか。本来ならばストーブリーグでもっとも楽しい話題のはずだが、今年ほど予想が楽しめない年はない。このコラムがはじまって以来、と言うよりもここ20年でもっとも、と言っても過言ではない。特にセ・リーグであるが、全チームが135試合戦い終わった時点で、巨人が一番上にいなければおかしい。他のチームが優勝していたら異常だ。その位戦力差がある。他のチームにも優勝の望みがないわけではない。たとえば阪神なら、オリックスから移籍の星野が40勝すれば十分望みがあるし、横浜だったら自慢のマシンガン打線のスタメンが全員4割を打てばあるいはいけるかもしれない。江藤の抜けた広島も、新しく四番を任せられると思われる金本が3ケタ台のホームランを打ってチームを引っ張っていければ、十分対抗馬に成り得る……逆にそういう事態が起こらないとしたら、巨人の圧倒的有利はくつがえされる事はないだろう。万が一巨人がつまづくとしたら、長嶋カントクが監督としてその能力を十分に発揮した時(笑)、だけ。もし、去年限りで近鉄を引退した中川隆治投手(プロ通算9試合登板、0勝0敗防御率6.06)や海砂利水魚の大きいほうが今年の巨人の監督になれば、英国のブックメーカーは巨人がセ・リーグで優勝した時のオッズを1.1倍にするのでは、と思われる。その意味では長嶋カントクにはいつまでもその座にとどまっていて欲しいものであるが、日本のプロ野球の健全な発展、という面ではこれほど大きなマイナスもそうそうあるまい。ここ数年巨人がやっている事は、端的に言ってしまえば監督が無能なのでいくら戦力をととのえても勝てない→相対的に強くあろうとしてカネでFA選手をかき集め、しかもその全種をダメにする(巨人に移ってから成績がUPした選手をひとりでも知ってますか?)の繰りかえしである。去年やおととしのスポーツ紙、又は専門誌の”××年ペナント予想”を読みかえして見ると、ほとんどの評論家が戦力的に巨人が他を圧倒しているとして、優勝候補一番手に挙げていた。今年また優勝出来なければ、またブサイクなマネーゲームをシーズンオフに繰りひろげるのだろう。あわれなものだ。

 対抗はやhり中日だろう。ストッパーが誰になるか、がポイントだが、近鉄から小池・佐野と上手い補強をしていて、宣の抜けたマイナスをカバーしている。攻撃面でもバリバリの現役大リーガー、ディンゴを獲って去年より確実に厚みを増した。控えがやや弱いが、アクシデントがなければレギュラークラスでは巨人にヒケはとらない。ベンチの能力では中日が圧倒的に上なだけに(もっともこれはセ・パの他の10チーム全てに言えることでもあるのだが)、つけいるスキはあるかも知れない。

 伏兵としてはヤクルトをあげたい。石井一・伊藤・川崎の3人はその持てる力を十分に発揮する事が出来れば間違いなくセ・リーグナンバーワンの三本柱だし、ハッカミー・山部・高木というローテーションに入ってきそうな投手も悪くない。岡林・田畑・加藤といった実績あるグループや五十嵐・宮出といった若手。新外国人投手のレモンといったあたりから何人か出てくれば、山本・高津という後ろがある程度計算出来るだけに面白そうだ。何より古田が今年で35歳、そろそろ優勝しておかないと年々きびしくなりそうでもあるし。ただ、このチームは外野のレギュラーが固定されないのが気にかかる。飯田・佐藤・副島・真中・稲葉・高橋智と高いレベルでのポジション争いで、一見層が厚くチームにとってプラスのように思われるが、実はそうではない。仰木マジックのような特殊な采配は別だが、メンバーが固定されないチームというのはたとえ個々の選手がい数字を残しても、チームの成績には結びつかないものなのだ。去年のヤクルトは実に様々な選手がブレイクした。それまでほとんど代打と守備固めとしてしか起用されていなかった佐藤真一が三番に座り.341/13ホーマーと活躍したり、真中が初の規定打席に達しての三割を記録したり、さらにぺタジーニや投手の高木が予想以上の大活躍をしたりとにぎやかだが、チームは優勝争いと全く無縁のまま4位。この結果を若松監督がどう解釈するか。二年目にして正念場をむかえているといっても決して過言ではない。優勝のラストチャンスの年とまで言ってもいいと思う。

 去年。パ・リーグでダイエーが優勝すると予想した評論家は何人いただろうか。筆者も当然外したクチだが、連覇できるか? と問われたらやはりむずかしいと言わざるを得ない。工藤の抜けた穴も大きいが、それ以上に”連覇するまでの強さ”はないのではないか、というのが正直なところである。穴、うんぬんで言えば去年はその前の年に最多勝に輝いた武田が抜けたわけで、それでも優勝したのだから大きいは大きいにしても埋めきれない穴であるとは思わない。しかし、去年の優勝は多分に西武の自滅に救われた、相対的な強さによるところが大きい。連覇の可能性は3割に満たない、と言ってもいいと思う。ひとつ可能性があるとしたら、斎藤貢・渡辺秀・吉武・斎藤和といった能力がありながらもうひとつ伸び悩んでいる若手が、”尾花ID”によって花開いた場合だろう。キャッチャーがしっかりしているチームだけに、その場合は面白い。

 ”実質的な監督””西武黄金時代をつくった知恵袋”といわれた伊原コーチの流出が少し気になるが、メジャー通算2240安打のフェルナンデス内野手と、同じくメジャー通算打率3割を誇るジェファーソン外野手という超大物メジャーリーガーを2人獲得して打線に俄然厚みが出た西武がかなり優勝に近いところにいるのは間違いない。右のロングヒッターが垣内ぐらいなのが強いて言えばウイークポイントだが、松井をはじめ脚をつかえる選手がそろっているし、ディフェンス面でも鈴木健以外はまあ安心できる。石井・西口・松坂を軸とした投手陣も大きく破綻する事は考えにくい。ある程度信頼できる本命と言ってよいだろう。左の先発で実績ある投手が見あたらないのが弱点とえば弱点。ただ、星野・土肥といった若手が順調に伸びてくればこの点も解消されると思われる。

 一歩ずつ着実にチーム造りをしているロッテには好感が持てる。投手陣も黒木を中心にソコソコの駒はそろっている。ただ、いかにもオフェンスが弱い。巨人から移籍の石井と新外国人のバリーが大きなカギを握っている。本来ならば福浦あたりがもっと頑張らなければならないのだが。

 オリックス・近鉄・日ハムはツボにハマれば、というところか。いずれも、セ・リーグの優勝が難しそうな2チームよりははるかに高い可能性は持っている、といっておこう。それがどことどこかは…言わぬが花(笑)。ともあれ、各チームの健闘を祈る。

(この項終わり)

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