<バックナンバー一覧>

1998年4月号
written by 来素果森

98年のペナントレースを予想する(1)


 98年のペナントレースはセが4月3日の金曜日、パが4月4日の土曜日に開幕する。一週間違うならともかく、一日ぐらいなら合わせられないものかとも思うが、それは来年以降の課題という事で今回は毎年恒例のペナントレースの予想をしてみよう。ただし現在は2月25日でオープン戦もまだほとんど始まっておらず、各チームの新戦力の評価も定まっていない時期だという事はあらかじめご承知おき願いたい。極端な話、新外国人選手に打者では二人ともバース、投手なら二人ともバッキー(古いか)のような力があるならそのチームは即座にそのリーグの優勝候補におどり出るわけだし、中心選手〜ヤクルトなら古田、オリックスならイチロー〜がオープン戦で故障したりしたらそのチーム評価は大きく下げざるを得ない。そういった要素をのぞいての、あくまで2月時点での予想である。参考程度に考えてほしい。まず去年のチャンピオンチームのあるリーグから。

<セ・リーグ>

 昨年は個々の試合は別として、ペナントレースとしてはきわめて面白味のない一年であった。ヤクルトファンを除いては。横浜の猛追はたしかに一時盛り上がったが正直逆転はむずかしいと誰もが内心思っていただろう。優勝争いへの興味というより、強すぎるヤクルトへの反発+30年近く優勝から遠ざかっているチームへの判官びいきがあのフィーバーを巻き起こしたのだと思う。その横浜であるが、今年は優勝のチャンスである。いや、むしろ今年を逃したらしばらくまた優勝争いとは縁がなくなるのではないかとすら思う。横浜躍進の立役者とも言える大矢前監督の首を斬った事に対して各方面では非難の声が高かったが、筆者は横浜が優勝を目指すには絶対必要な措置であったと思う。ひとつのリーグにチームが6つ、単純計算で言うと6年に1回は優勝の順番がまわってくるペナントレースで、30年近く優勝していないというのはまさしく異常である。大矢は決して無能な監督ではないが、このような異常事態を乗り切るタイプの将ではない。続投していたら間違いなく横浜は3〜4位で終わっていただろう。その点、これが初監督職ではあるが権藤は”機”を活かせるタイプの監督ではないかと思われる。上げ潮のチームにプラスアルファをもたらす事が出来る監督ではないかと思われる。それが筆者が横浜を推す理由である。ただし、このタイプの将は外した場面は悲惨である。しかし、優勝しなければあとは何位でもあまり意味はないのだからこのバクチは正解だろう。戦力に目をむければ戸叶・福盛・横山といった期待出来る若い力(逆に言うと去年一年の実績しかなく無条件で勝ち星が計算できるわけではないのだが)がそろっている投手陣はともかく、内・外野ともレギュラークラスと控えの力量差が著しい。主力にひとりでも故障者が出ると大幅な戦力ダウンはまぬがれない。去年ヤクルトがオリックスから馬場を獲って大成功したような、層を厚くするためのトレードを仕掛けたいところだろう。主力級の盛田を出してまで中根を獲ったのも、一見やや不利な交換のように見えるが、外野層の補強、というしっかりした戦略に基づいたトレードであり、今年にかける熱意としたたかな戦略を感じさせる。台風の目、以上の存在になりそうである。

 いろいろな意味で対照的な存在であるのが巨人である。野手の層の厚さは間違いなく両リーグナンバー1で多少故障者が出てもビクともしない強さがある。まあ、カネで引っ張ってくるのだから当たり前であるが。元木や石井、ひょっとしたら仁志までポジションの心配をしなければならないのだから贅沢な話である。投手陣も申し分ない。斎藤・槙原・桑田といったところはそろそろ下り坂かもしれないがまだ今年ぐらいは持つだろうし、若手の成長も期待できる。課題は相変わらずの捕手不足と首脳陣である事は誰の目にも明らかだろう。去年巨人の一軍でマスクを被ったのは村田真・柳沢・杉山・吉原・村田善の5人だが、はっきり言って他チームに移籍してポジションの獲れる選手は一人もいない。最も肝心なリード面でかろうじて合格点が出せるのは村田真のみ。だが彼にしてもキャッチングと肩は完全な赤点の上、ウリでもあったバッティングも去年の成績が一割六分四厘で本塁打も一本と急激に衰えており、とても一年通して働けるとは思えない。なぜトレードに動かないのだろう。現在の無能者ぞろいの首脳陣のもとでは能力ある捕手が育たない(去年のペナント終盤、松井とホージーがホームラン王争いをしているときの巨人首脳陣のバッテリーへの指示”失投を投げるな”は後世まで笑い話として語り継がれるであろう)のは明らかなのだから、チームを創るスタッフが動かなければならないだろう。巨人は捕手が課題、と何年言われ続けている事か。

 あとは首脳陣がどういう野球をやろうとするかに尽きる。どうも最近の巨人は、この20年で最も美しい(強かった、ではない)優勝だったと多くの人が指摘する85年の阪神のような野球を目指しているかのように見える。1・3〜5番が全員4番のように打ちまくり、観る者に感動と爽快感を与えずにはいられなかったあの野球を。しかし、それは小錦がラージヒルのジャンプでK点越えを目指すのと同じ位無謀かつ不可能である。真弓・弘田・バース・掛布・岡田と仁志・川相・松井・清原・広沢を比べてみて、後者が前者に勝る点は絶無皆無0%という事はあまりに明らかだろう。言いかえれば”全員四番野球”による優勝とはそれほどむずかしいのだ。早く首脳陣がその愚に気付き、等身大の野球をすれば優勝に近いところにいるのは間違いない。もっともあの首脳陣が愚に気がつくというのは不可能事かもしれないが。

 毎年期待されながらも、必ずと言っていいほど左の二枚看板(今中・山本)のどちらかが故障し、気がつくともう9年間も優勝から遠ざかっている中日。元来地力のあるチームであるし、韓国のイチローこと李鍾範を入団させるなど明るい話題は多い。前年最低下位から一気に…も考えられる。興味深いのはどういったスタメンを組んでくるのかである。ショートは誰が守るのか。守備だけなら球界トップクラスの久慈か、李か。立浪はどこに落ちつくのか。確実に3割を打つ力があるが捕手としてはもうひとつの関川をどう使うか。ここらへんの匙加減を誤るとチームはたちまち活力を失う。筆者は立浪は外野で生きるタイプかどうか大いに疑問があり、ヤクルトの飯田のように外野へ行ってよい結果が出るとは思えない。また久慈はショートでないと魅力がない。セカンド立浪、ショート久慈、外野に李がいいと思うのだがどうだろう。難しいところではあるが。あと、外野手で大きいのが打てる右が一人欲しい。そうすると、かなり理想的な打線が出来あがるのだが。投手陣では山田・遠藤といった有望格が出場停止で出遅れるために、左の二枚看板が開幕から働く事がきわめて大事である。他の先発組の門倉・落合・大塔・古池・野口といったところはかなり安定感に欠けるだけに、この二人で貯金していかないと厳しそうだ。               (この項続く)

▲バックナンバー一覧へ
▲トップページへ