65試合にも及ぶ長い長い消化試合の前に語らねばならない事。
今回は前回までの総集編という事で救援投手の事を書く予定だったのだが、セ・リーグのペナントレースに大きな変動があったのでそちらに触れておく事にする。救援投手の事はまた機を改めて。
6月28日からの対広島三連戦に三タテをくらわされた巨人はこの時点で首位と11ゲーム差になり、阪神・横浜に続いてペナントレースから脱落した。今後一時的に盛り返す事はあってもよほどのアクシデントが上位チームを襲わない限り優勝争いに絡んでくるのは不可能だろう。明らかに戦力的に落ちる阪神や横浜は兎も角、銭ゲバシステム(ドラフトやFAに大金を投入し、札ビラで横っ面ひっぱたいて選手をかき集める事)により上位2チーム、広島や中日に劣らない戦力を持つ巨人がペナントレース折り返し前後のところでもう優勝争いから脱落してしまうのはなぜなのか。ズルズルと負けがこみだした6月の中旬以降の試合を仔細に検討すると、毎度の指摘で申し訳ないがおそるべき”首脳陣の頭の悪さ”が見えてくる。今回は、いくつかのゲームをピックアップして長嶋のおろかさ、ついでに平均的なプロ野球監督はどんな事を考えつつゲームの采配をふるうのかを検証してみたい。
まず、今から考えると”転落の序章”であった6/14〜6/16の甲子園での対阪神三連敗。全て一点差負け(ついでに言うとこの前の横浜戦も含め五試合連続一点差負け)という結果だけ見ても首脳陣の能力は推し図れるとは思うが、特にひどかったのは15日の試合である。三塁手仁志のサヨナラトンネルエラーといえば思い出す人も多いだろう。簡単に試合経過を説明しておくと、竹内と宮本の投げ合いではじまったこの試合は完全な投手戦となり、お互いにチャンスを生かしきれず一対一で延長に突入。巨人は宮本ー西山ーマリオー岡田、阪神は竹内ー郭李ー湯舟とつないで12回まで両者ゆずらず問題の13回が来た。その表、巨人は一死後七番の仁志がヒットで出塁したものの八番の杉山は三振。二死一塁となって次打者、九番に入っていた高村の初球時に仁志が盗塁し二死二塁。次打者、一番に入っていたのがピッチャーの岡田なだけにこの場面での盗塁には大きな疑問があるのだがひとまずそれはおいておくとして、この場面で高村の代打に岸川が出てきたのには筆者は椅子からころげ落ちるほど驚いた。今シーズンここまで317、本塁打4本と絶好調、文字通り右の代打の切り札である彼を、120%敬遠が考えられるこの場面でなぜ出してくるのか。当然歩かせられ、次打者岡田には今期絶不調で打率が二割も割っていた吉岡が代打に指名され、平凡なライトフライに討ちとられた。後は覚えている人も多いだろう。マリオにつぐ信頼できるリリーバーである岡田を降ろさざるを得なかった巨人がその裏出してきたのはプロ入り後まだ勝ち星のない木村で、星野に二塁打を打たれて和田は敬遠、最後に久慈の三塁ゴロを仁志が…という結末をむかえるわけだが、この敗因を木村と仁志に求めるのはそれこそ筋違いだろう。敗因は100%ベンチにある。ここでとるべき作戦は(1)延長が、15回まで続く可能性を考えると、岡田は外せない(2)絶好調岸川をどう活かすか、を前提としたものでなければならなかった。筆者だったらまず、仁志は走らせない。一塁を埋めておいて打者勝負の状況をつくって、高村との間でカウントを見計らってエンドランをかける。この日の阪神の両翼、桧山と関川は決して守備が上手いほうではないので、仁志の脚ならちょっとライン寄りに打球がとべば一点とれる可能性があるからである。もちろん、さほど成功率が高い作戦ではない。しかし、(1)を満たしてなおかつ点をとろうとしたらこれ位しか思いつかない。点がとれなかったら次の回に
この試合はNHKテレビで中継されたが、記憶力のよい読者ならこの日解説をしていた前西武監督・森が仁志が走った時点であきれかえったようなニュアンスで「これで阪神バッテリーは(高村を)敬遠すればいい」と言った事と、代打岸川がつげられた時点で吐き捨てるような口調で非難していた事を覚えているだろう。筆者は一瞬今日の解説者はロッテのGMだったっけ、と思うほど明確な采配非難だった。あのたぬきおやじが、である。
もうひと試合。6/23の東京ドームでの対横浜戦。仁志の(なぜか仁志がらみが多い)起死回生の逆転3ランが一瞬のうちに吹きとんだ、マリオがはじめて敗戦投手になった試合といえば思い出す人も多いだろう。ポイントは2つあって、まず6回の裏に三対三と追いついた巨人が7回表、一死一・三塁のピンチに岡田から西山にスイッチしたところである。この回の頭から登板した岡田は、エラーといってもいいような不幸な内野安打と盗塁などでピンチを背負ったが、調子自体は大変よく見えた。ところが、駒田をむかえたところで突然西山に替えられてしまった。左の河野あたりが出てくるならともかく、右から右である。おそらく、球の速い西山なら三振がとれるかも…という素晴らしくプロフェッショナルな発想によるものだろう。かとうつとむクン(12さい)も賛成してくれたに違いない。←前号参照。だが、もう少し野球に詳しい人はその選手の調子や過去のデータも頭に入れた上で判断を下す。今年の西山は極端に調子を落としており、全ての数字が悪くなっているが、数字にあらわれにくい部分、前の投手がつくったピンチをおさえこむ事が期待されている場面での登板の成功率は偏差値40からの東大進学よりももっと低い。前回も書いたが、球速があっても棒球なのである。案の定駒田の当たりは三塁正面にとんだライナーで難をのがれたが、ローズには三塁打を打たれた。岡田はさぞ面白くなかっただろう。続いて一点リードの9回表、二死二塁でいくら好調とはいえ佐伯を敬遠したのにも驚かされた。なぜ勝ち越しのランナーをわざわざ出すのか。仮に同点に追いつかれたとしても、横浜のストッパー佐々木は8回仁志に逆転3ランを打たれてるように大不調で、しかも9回裏の巨人は3番・松井からはじまる好打順。結果論では決してなく、ここは勝負だったろう。特に打ったと同時にランナーが一斉に走りだす、ツーアウトだったのだから。
選手としてプロと言えなかった息子はとうとうファームに落ちた。お父さん、次はあなたの番だ。
(この項終わり)
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