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| いったい何を充電してたんですか、ミスター
大方の予想通り、否、それ以上にセ・リーグは混戦状態になってきた。一時はひとチームだけとり残されるかと思われた横浜も、2年めの斎藤隆・有働や去年不振だっ た野村、ロッテから移籍の永野、更にはドラフト1位の小桧山がそれぞれ先発・中継 ぎ・抑えの部門で活躍する事によって5月反攻に出て、首位から最下位までの6チームが4ゲーム半の中にひしめくダンゴ状態になってきた。横浜は6月中には盛田の復帰も予想され、先に挙げた5人+盛田、さらにエースストッパー佐々木まで主力投手7人が 25歳以下という若さあふれる投手陣はシーズン通して他チームの脅威になるに違いない。今年の優勝まではともかく、台風の目としてリーグをかきまわし、あわよくば…の位置につけるまでの力は得たと見た。後はキャッチャーを含めたディフェンスをど う仕上げていくか。近藤新監督のお手並み拝見である。 巨人の不振の原因はかなりの責任が首脳陣にある。理由は簡単で”このチームには何が欠けていてどこを直さなければいけないか”という問題にマトモに取り組まず、 長所を伸ばし潜在能力を発掘するのを美名のもとに無意味なスローガンだけの練習をキャンプ時から繰り返して来たからである。たしかにキャッチャーの強化、は真剣に取り組まれたようだが、その結果選ばれたのが大久保。なるほど打力は一流だがディ フェンス面のリード・キャッチングにはまるで進歩が見られない。肩もよくない。こ ういう言い方はしたくないが、主戦捕手が伊東ひとりでノドから手が出るほど控え捕手が欲しかった西武で捕手落第を言い渡された選手に期待する方が無理というものである。これにくらべると村田は少なくともリードの面ではかなり成長がみられる。おそらく、大久保に勝つにはリード面しかない、と悟ってかなり勉強したのだろう。状況に応じた、まではまだ行ってないがある程度理にかなったリードで、投手を保たせる事が出来るようになってきた。そこらへんを首脳陣がちゃんと視てるかどうか。肩の不安はかかえているものの、現時点では村田がベターだと思われる。そこらへんは目ざとい桑田なんかは名指しで村田を指名している。 キャッチャー問題にかくれて問題にならなかったし、またされなかったのが中継ぎ投手の育成の問題。西武の潮崎・新谷や去年の阪神の島尾・御子柴・弓長、横浜の去 年の盛田、今年の小桧山、近鉄の清川・佐野などいいストッパーを持ってるチームは 必ずそれを生かすために中継ぎ陣の充実を図るのだが巨人は石毛といういいストッパーを持ちながら専門の中継ぎがいないのに等しい。二番目、三番目に投げる投手がいるだけである。好不調の差が激しい木田や肩に不安を持ち連投のきかない水野が出 ては結果を出せないでいる。現在中継ぎでよく使われている橋本にしても、オープン戦時はあきらかに先発型の使われ方をしていて現在の好成績はたまたまの結果論。中継ぎ投手とはこういうもので、その為の指導とはどうあるべきかという思考が首脳陣 にあるとは思えない。この傾向はここ数年巨人の首脳陣に共通するもので、長期充電 後の長嶋監督にはそういう点の打破を期待してたんだが残念ながらそういう視点からの再建案はないようだ。前々回のこのコラムで書いたように、巨人の戦力は開幕から突っ走れるだけのものは持っている。5月上旬ごろ広島が快調に首位を走っている時に野村監督が、”突っ走るのは巨人やと思ったけどな…”と不振の自チームをふり返 りながらも自嘲気味につぶやいたのも、開幕前に広島の山本監督が”巨人は強そうだ けど5月を過ぎれば必ず穴が見えてくる”と半ばスタートダッシュされるのは覚悟の上でペナントをどう戦っていくか腹をくくっていたのも、それは巨人の戦力にそれだけ脅威を感じていたからで、今ごろは胸をなでおろしているに違いない。 巨人がオープン戦時に打ち出していたテーマの1つに”スピード野球”があった。 なるほど去年のチーム盗塁数が大変少なかった点なんかを考えるとまあ妥当な視点である。しかし、そのテーマを克服する為に行われた方法は極めておかしなものであっ た。チーム全体走れ走れ! である。何をか言わんや。相手のバッテリーもさほど警戒していないオープン戦では、原でも駒田でも盗塁が決められた。しかしそんなのは 自己満足以外の何の意味を持つものではない。公式戦の大事なここぞというところで走ることが出来るか、または塁に出る事によって相手バッテリーにプレッシャーをかけられる事が出来るか…これがスピードが武器になる野球である。今の巨人のスタメ ンにそれを望んでも無理にきまっている。じゃあどうするか? 二軍の捕手だった飯田の脚力に眼をつけ、抜擢して使ってるうちに連続盗塁成功記録を狙えるような選手に育った。ケガの後遺症で現在は不調だがそれは結果論としての正しさの話である。 盗塁王の経験もある緒方が足首をいためていて多くを期待できない以上、急務だと思われる問題なんだが今のような考えのままでは解決の道は遠い。 松井や長嶋ジュニアの使い方はそれはそれで大きな問題であるが、更にいえばその問題の解決方法にもややうなずけない点もあるが、まあそれは首脳陣の考え方はこうだ、という事でとりあえずよしとしよう。しかしこのような一見地味な、しかし必ず解決しておかなければならない点をないがしろにしていては真に強いチーム造りが出来るわけはない。先発投手が150qを越える速球と大きく曲がるカーブをコーナーに自在に投げわけられる時は捕手のリードなんてさほど問題にならないし、そのまま9回まで投げてくれれば中継ぎ投手もいらない。打者がポンポンホームランを打つなら ば盗塁する必要もない。そしてこの様な場合には監督もコーチもいらないのだ。首脳陣がやらなくてはいけない事は投手の調子が良くない時に配球の妙でそれをカバーする頭脳を持つキャッチャーをつくる事であり、それでも先発が崩れたらゲームを壊さない様に、そして抑えにつなげるような中継ぎ投手を育成する事であり、相手投手が打ち崩せない緊迫した場面で走る選手を育成する事である。その姿勢が見られない巨人首脳陣は無能と評されても仕方あるまい。 |