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2008年5月号
written by 相田智久

人生を何度やり直せば、「モテ期」が来るのでしょうか。
 08年1月、印象に残ったのは、AKB48・大島麻衣の、ラジオ番組遅刻事件だった。事件が起こったのは、ニッポン放送、平日夜10時から生放送の『東貴博のヤンピース』にて。当日ゲスト出演する予定だった大島が、時間になっても現れず、マネージャーでも連絡がつかない異常な状態。実は自宅で眠ってしまい、寝坊したのが原因であった。オチとしては平凡なのだが、現役バリバリのアイドルが姿を見せない事態は最近珍しく、生放送ならではのスリルを、久し振りに味わった。

 結局、番組終了までには駆けつけ、ミニコーナーや新曲告知等、何とか形は整えたが、やはり幾つかの点でまずかったのは否めない所だ。まず出演番組がラジオの世界ではヤング向けゴールデンの時間帯だった事。その舞台でポカをやらかしたのは大きかった。次に彼女はバラ売りが始まっており、この日も単独の出演だった。複数での出演なら、他のメンバーが場をつなぎ、フォロー出来たのだが、それが叶わなかった。その為、個人のミスという点が、クローズアップされてしまった。

 第三は、ニッポン放送とAKB48の、独特な距離感の話である。AKB48は『ヤンピース』の裏番組、文化放送『レコメン』内に、レギュラー番組を持つ立場である事が一点。そして問題は、同じく女性アイドルグループの『アイドリング!!!』の存在だ。周知の通り、ニッポン放送はフジサンケイグループの一角を占める企業。同グループのフジテレビが、今自社資本で育成しているのがアイドリング!!!なのだ。

 フジはCS、地上波、ネット配信と、系列の多彩なメディアに彼女達のレギュラー番組を展開。特にCSでは、平日夕方5時からと、80年代の『夕やけニャンニャン』と同じ時間帯での放送も。個人番号を与えたり、素人っぽさを売りにしたりと、当時のおニャン子クラブを意識した様な戦略が目立つ。何より同じフジグループの仕掛けなので、平成のおニャン子との呼び声もある。しかし、『平成のおニャン子』といえば、AKB48も黙っておれまい。プロデューサーが、おニャン子を手がけた秋元氏なのだから。

 ともあれ、以上の様な理由でニッポン放送にとり、AKB48は、グループ企業が押すアイドルのライバルなのだ。ただでさえ、外様扱いになりがち。だからこそ大島は、今回の出演をキチッとこなす必要があったのだが……。まぁ、悪いタイミングで、ハプニングとは起こってしまうものだ。

 大島個人に関しては、トークも出来るし、場への対応力もあるので、上手く成長して欲しい。今後に期待したい(フジ系メディア以外で・笑)。

 さて今回は、件のアイドリング!!!のCDを取り上げたい。『Snow
celebration』。『ポンキッキ』とのコラボを除けば、2枚目である。ボーカル入りが4曲、カラオケが1曲とシングル盤の割にボリュームたっぷり。お得感がある。タイトル曲『Snow…』にはタイアップ付き。勿論フジテレビ系で、イベント『HOT☆FANTASY ODAIBA 07-08』のテーマソングとなっている。又、本人達も、同イベントのイメージキャラクターに採用された。投資している分、自分の手駒は徹底活用する、といった所なのだろう。

 では曲『Snow…』を聴いて行こう。基本的には合唱タイプ。ソロパートを余り長く取らず、全員で声を出す事により、厚みやスケール感といった要素を引き出す作りとなっている。新人時代は、どうしてもボーカルが遠慮がち。歌が薄くなり易いので、現在の彼女達には有効な方法だろう。

 本曲はイベントのテーマソングという性質から、なるべく広い年齢層にアピールするよう、穏やかな印象の曲調だ。清潔感もある。ややゆったりしたテンポ、更に合唱効果で、新人ながら、それなりにスケールの大きさを感じさせる。目的に合った仕上がりになったと思う。

 メロディ。あえて大きな起伏を作らず、なだらかに流れて行く。これはイベント会場等で、繰り返し流した時、飽きにくいメリットがある。故にドラマチッ
クな構成ではない。明るい旋律なのだが、はしゃぎ過ぎておらず、意外にお行儀が良い。破綻した所がなく、優等生っぽい。タイトルの『Snow…』よ
ろしく、淡さとほんわか感のある旋律は、親しみ易い。色で言えば、パステルカラーだ。

 歌詞世界。恋人との関係や、ちょっとした触れあいが描かれている。乙
女チック、かつハッピーな世界観だ。ガツガツせず、ゆっくり幸せを噛みしめている感じ。恋人を表す時の「キミ」という呼称に代表される様に、ラブソングだけれども、ベトつかない爽やかさが特徴である。こういった歌詞が、前述の淡さを持つメロディに乗り、何処かしら余裕を感じさせる曲が出来上がった。

 衣装は個々人でデザインが異なるものの、同じく雪からの連想で、全身真っ白なコーディネイトである。トータルで伝わるのが、冬らしい、すっきりした爽やかさだ。結果、アイドル曲としてかなり王道な、ファンが安心して聴ける曲となった。難を言えば、ボーカルのソロパート。まだ不安定さや弱い部分も感じられる。だが、初々しさ、キュートさがちゃんと表れており、現時点では良い出来と言ってもいいのではないか。

 カップリング『モテ期のうた』。少々テンポアップ、コミカルな歌詞で、楽しい曲である。バックが打ち込みという事もあってか、非常に軽やかな印象を受ける。ライブで盛り上がるタイプの曲だ。隠し味にちょっぴりテクノ。本作もアクが抜け、さっぱり風味だ。

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