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| フォトジェニックな猫系美少女、制服姿で歌手デビュー
さて今回は市川由衣についてチェックして行こう。02年度グラビア界を振り返ると、吉岡美穂が快進撃を続けていた時期と重なっている。メインの扱いで数多くの雑誌に登場。20代モデルでは、やはり彼女の年だったと思える。そしてやや下の年齢層、10代の中では、同年フジテレビ・ビジュアルクィーンに選ばれた、市川由衣の活躍が著しかったと思うのだ。アイドル誌『BOMB』において、同一年度内二回の巻頭特集を達成。又、マンガ誌を含め、青年誌のグラビアにも顔を出す。オリコン増刊でも表紙を飾った。更に今は亡きCD-ROM付きアイドル誌『icupid』は、市川が表紙のバックナンバーが売り切れを起こす等、人気の高さが窺える。 20代のモデルは井川遥のブレイクにより、癒し系という言葉が流行。井川の水着卒業があり、彼女と入れ替わるように飛躍した吉岡も、ソフトな声質・ゆったりした口調、ほんわかイメージのキャラ。同じ文脈で語られる事が多かった。こういったお姉さん世代の流行に比して、市川はどうか。抜群のルックス、基本になるのは大変シャープな顔立ちだ。笑顔でかなりの甘さも出るのだが、完全には気を許していない表情が特徴である。はっきりした眉、大きな瞳が、見る者に強い印象を与える。良く目に力があると言うが、まるでこの人の為にあるような表現だ。彼女のグラビアはこの瞳の力も相まって、ただ可愛いだけではなく、プラスアルファを感じさせてくれる。 顔のバランスなのか、それともこちらの思い通りにならなそうなムードからなのか。彼女からは猫が連想される。それが「ゆいにゃん」というニックネームの基となっているし、ファン向けの「ゆいにゃん語」なる符丁もあるにゃん(笑)。写真の元気で明るい様子より、癒し系ならぬ「励まし系」と呼ばれる事もあるようだ。小柄だがメリハリのあるボディはビキニ映えがし、人気が出たのも納得できる。井川〜吉岡のラインとは明らかに違う流れに属する人材。意外に伝統的なアイドル人気の出方に近い気がしている。 ドラマ方面では『渋谷系女子プロレス』、『時空警察ヴェッカーD-02』で、深夜帯ながら主演をゲット。その後『ホットマン』、『ヤンキー母校に帰る』で、深夜以外の時間にも進出した。以前は演技の勉強をしていた彼女、最終的には役者が目標なのだろう。現在はグラビア人気を土台に、アイドル的な展開を選んだ。その一環としての歌手デビューという事になる。水着写真集、DVD等の男性向け、コアなユーザー向けの商品は既に発売してきている。今一歩のメジャー化を目指す方法として歌を選ぶのは、現時点で正しいと思う。 曲は森高千里が歌った『雨』。近年、松下萌子もカバーしていた作品だ。無難な選曲ではある。『雨』は旋律が綺麗なバラードで、上品にまとめやすい。知名度をアップさせたい市川サイドとしては、出来れば女性客にも名前を憶えてもらいたい。かと言って余り弾けた曲調では、男に媚びていると反感を持たれる怖れがある。本作であれば男女両方から大きな反発はないだろう。 曲を聴いてみる。上ずり気味、平板な発声で、やや危なっかしげに歌が始まる。声量はまず平均的な所か。若干のたどたどしさは最後まで残る。悪くない。ルックスと違和感がなく、少し高めのトーン。女の子っぽい可愛さがある。舌足らずのボーカルを聴いていると、こんな感じを待っていたんだと膝を叩いてしまった。「アイドル歌手」という言い方は漠然としていて、人により受け止め方が様々だが、本作はその分かり易い一例と思う。 歌番組では緊張で表情が硬かった。今や記憶の彼方にある、初々しさのベタなディティール。だが、コレを好きなファンは案外多いし、ン十年アイドルを見続けた筆者にしても、改めて見せられると、やっぱりいいなと思う。別にそれが演技・演出でもかまわない。結局の所、この手の娯楽が好きなのだ。元々、音楽を聴く、ビデを観る等は、とても個人的な楽しみである。皆と同じヒット曲…大体、上手い歌なんか聴いて、何が面白いのだ(笑)。 こう書くと純朴な清純派(それもかなりクラシックな)タレントに思われるかも知れないが、市川自身は洗練された、所謂イマドキ系ルックスの人であり、わざとらしさはほとんど感じられない。これは彼女の強みだろう。歌衣装がブレザータイプの制服で色は白。本作のジャケットも色がグレーのブレザー姿。03年、青年マンガ誌とタイアップしながら『私立市川由衣学園』なる写真集を発売したが、この企画で押した為、歌も学生イメージの清楚なビジュアルとなった。なおブレザーの胸エンブレムは、架空の『由衣学園』オリジナル校章らしい。暫くは彼女のアイデンティティマークとして使われる模様だ。 曲に戻ろう。アレンジはオリジナルに忠実な出来。テンポもそのままで、原本の良さを壊しておらず好感触。ストリングスや冒頭のキーボードが情感を誘う。初冬らしい仕上がりだ。ボーカルの音像は割合大きめ。バラードらしく深いエコーがかけられており、オーディオ的なスリルは乏しい。普通に聴く分には、低音感もそれなりにあり、適度な湿り気がムードを生み楽しめる。 レコード会社(ポニーキャニオン)が、一般公募もい集めながらヒネリ出したキャッチコピーが「由衣緒正しいアイドル」市川由衣。推して知るべし。今の所この選択がファンにも製作者側にもベストだろう。次作のリリースも決定した。期待して待ちたい。 |