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1997年1月号
written by 相田智久

『ラジオスターの悲劇』…バグルスを連想したヒトは中年か?(笑) 

 ホリプロが生み出したバーチャルアイドル、伊達杏子DK-96。現実には居ないタレントという点で、6年前の芳賀ゆい、更に昔のアニメ『メガゾーン23』の時祭イブを思い出す人も居るだろう。予想通り  ファンの喰いつきは良くない。芳賀ゆいの成功は、深夜放送という閉鎖性の強いメディアが出自であり、リスナーが参加できる「オレ達が作った面白いネタ」感覚がポイントだた。それに比べダテキョーはどうしても企業臭がつきまとう。大人が採算を考え本気でやっている。この遊びの無さだけで、かなり辛い状況だと思うのだが。今後のお手並み拝見といった所だ。

 展開の一つとしてラジオ番組が96年10月からスタート。東京FM木曜深夜の『伊達杏子のGーグルーパー』である。前記のファクターが頭にあったため、筆者はあまり期待を持たずに聴いてみた。が、どうしてコレが案外イケるのだ。内容は特にディープなネタは無し。身近な話題を高校生層中心に募っていくお相手タイプのモノである。

 「声のダテキョー」はいい仕事をしている。発声も悪くなく、適度に甘ったるい口調は、多くがイメージする「アドル」の番組らしい(現実のアイドルが担当すると、割合アッサリ味になってしまうものだ)。このシャベリは、最近珍しいスタイルだと言えるし楽しめる。ここだけ歯車が噛み合ったのはナゼだろう? ラジオは想像力の媒体。DJの思想・人間性が出やすい、怖い媒体でもある。今回声の担当者は、自分で責任を取らなければならない「人間性」とか「思想・信条…本当の自分」等という訳の解らないものから解放され、設定された『ダテキョー』の再現を重視すれば良い事になった。これが件の番組が独特の魅力を持つ原因だと思う。軽やかなのだ。

 日常の我々も、会社、学校他の場面ごとに「真面目」「明るいがそそっかしい」「温厚」等、あらかじめ設定した人格を演技した方が楽である。その効果が声の担当者にも出ている。又、声優予備軍の急増という要因も、こういった企画を成立し易くしたと言えよう。芳賀ゆいの曲『星空のパスポート』も、『声』の出来が良かったのを記憶している。

 番組は2時間の長丁場だが、相手役の男性とのスムーズでないかけ合いも味があり、終了前に一聴される事をお勧めしたい。

 次はフジ系『木曜の怪談〜怪奇倶楽部〜』でおなじみ、野村佑香をフィーチャーしたファッションブック『野村佑香のかわいくなりたい!』(藝神出版社)をチェックです。

 え〜、この本は基本的におしゃれを意識しだすローティーンの女の子に向けたもの。内容は  靴、アクセサリーのベーシックアイテムの遊び方、ヘアアレンジやスキンケアと初歩のメイク法が載る、トータルなファッション・ハウトゥー本。おしゃれ入門編であります。でも、歪んだ目的で成人男子が購入しても充分堪能できあmす。

 まず本のレイアウトがファッション誌風で、スッキリして読み易い野村はストリート系からお嬢様のお出かけワンピースまで様々な服を着せ替え人形状態。制服、パジャマ水着にレオタード…とサービス満点。(ヘアケア頁でバスローブ! も有るぞ)。実用書ながら、ほとんど彼女の写真集と言って良い。表情も実に豊富。笑顔、おすまし、ちょっと生意気光線入った目線、水着のカットで思いがけない大人っぽい表情も見せ、多彩で飽きさせない。元々彼女はデルモ分野でキャリアを重ねたヒトであり、むしろこっち方面が本業であったのだ。バッチリ決まるハズですね。

 本の完成度は高いし、野村の可愛らしさもガツンと収録されているので、この年代に色々と悔いを残しているヒ人は、入手して甘酸っぱくモダエてみるのも一興でしょう。

 参加者の話では、本の発売記念のサイン会に、本来の購買層から離れた随分年上の男のおともだちが沢山並んだそうだ。しかし野村は表情も変えず、至ってクールに対応したという。精神力の強さを感じる。頼もしいぞぉ。

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