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1994年6月号
written by 相田智久

ちっちゃい女がワイドショーで湯煙女子大生するドラマ? 

 高橋由美子『南くんの恋人』が予想以上のヒットとなった。リンクさせた主題歌『友達でいいから』が実売30万枚、アイドルとしては久々にチャートのベストテン入りを果たしている。ドラマその物はTV化の為、他の原作付き作品と同じ様に「イイ話」に組み替えられてしまったが、最終話でヒロインのちよみを原作通り殺して終結した。この点は評価してよいと思う。筆者は原作の漫画を読んだ時、後味の悪さを味わったが、その何分の一かでも今回のドラマに取り入れた脚本を素直にホメたい。テレ朝の月曜8時は今、フジの「ボクたちのドラマシリーズ」と並ぶアイドルドラマの枠。この時間帯では「イイ人」に仕立てて殺すのが精一杯なのだろう。因みに筆者の周りでは女性にもこの作品、受けが良かった。女優へ脱皮を計っている高橋に今回はプラスになったと思う。

 さて次は笹峰愛のデビューシングル『ひとりぼっちのBirthday』。日テレのドラマ『ザ・ワイドショー』へやはり新人アイドル役で出演。曲は同番組の劇中歌として使用された。主役グループ、ウンナンの内村の妹でスキャンダラスな役回りの割に、印象に残らなかった。演技の生硬さ等の問題ではないだろう。前記のドラマは基本的に「ウッチャンナンチャンの」という冠付きで企画を成立させたモノであり、それ以上には成り得なかった。また、題材が一時期流行したギョーカイ内輪物で、目新しさに欠ける側面もあった。実際そういった場で目立つのは不可能に近い。楽曲が渋い。バラードであります。「平尾ミュージックスクールに居た」ってのが妙に取り沙汰されがちだが、あまり関係無いと思う。彼女のアルトの声域に合わせて作られた曲なんだろうけど、引っかかりが無いという感想。スーッと流れて行くが残らない。曲のムードがアニメ『ゴッドマジンガー』の主題歌に似てるぞ(笑)。カップリングはテンポアップして一転激しめの曲調だが、こちらも流れていってしまう。近年デビュー組の中でも歌唱レベルは水準を超えており、決して悪いデキではないのだが……。やや小さくキレイにまとまり過ぎた感はある。低めの音域で、ソフトな声質を使ったのが主な原因ではないだろうか。彼女は昨年NHK『アイドル・オン・ステージ』内で、伊藤咲子の『君、可愛いね』をカバーしており、こちらは楽しさが上手く表現出来て、可愛らしさが表面に出ていた。次曲の展開は初夏のイメージの明るいポップスで攻めてもらいたい。なお、ルックスは顔と目の大きさのバランスが元気だった頃の浅香唯パターン。ストレートヘアより少々ボリュームを持たせた髪型がマッチするのではないか?

 最後は、ムック本型式のシュシュトリアン写真集『雪月花』の話題。御存知フジ・日曜朝9時、12年間続いたおマヌケコメディーの最終作。単発作品でマニア向け特集本が出るのは『ポワトリン』以来で、美少女三人組のミニスカアクションは、やはり本来のターゲットとは違った層に受けてしまったようだ。内容はインタビュー、各エピソード紹介の定番記事ページの他に各自が保管していた(泣ける)衣装で新撮シュシュトリアン姿のカット、個人別コーナー、三人揃ってパーティードレス姿のカラーグラビアで構成。記録性と写真集的な性格をブレンドさせた、手練れた作りの本となっている。打ち切りは有名な話だが、これを見てしまうと新作ビデオを作っても案外イケると思える。新撮カットのポーズが単調で惜しいが、ファンには買い、でしょう。花子役広瀬仁美は米国輸出を意識した『カクレンジャー』で特撮続行。長女雪子役田中規子はちょいケバいグラビア、清楚なビデオのCM出演と落差のある露出だ。事務所がオスカーって事からも、アイドル女優としてメジャー化は、田中が一番速いかも知れない。では、また。 

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