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2000年3月号掲載
written by 桑原ナオミ

上島さんちのエル・サルバドルと本屋さんのイイ関係。いま、東京大丸6Fは「こじゃれわきが」でムンムン

『東京大丸6F


 ビロウな話で申し訳ない。世の中には、本屋(図書館含む)に行くと無性にウン○がしたくなる…という人がいる。本屋に入って暫くすると、やおら便意の大行進が始まり、いてもたってもいられなくなるらしいのだ。ビデオ屋やコンビニでは全く催さず、なぜか本屋限定でその特異な生理現象は起こる、という。彼ら”本屋便意症候群”(勝手に命名)は日本にどのくらい生息するのだろうか? 海外での発症例は?? 原因は何なのか??? 大学の偉いセンセイ様や公僕の調査機関はこういった一市民の素朴な疑問に答えを与えはくれない。よって全ては未だ闇の中だ。

 しかし、最近ではこの”本屋便意症候群”は広く世間に知られ、ささやかながら市民権を得たようで、”トイレ有ります”の本屋は徐々に増えつつある。しかも、突如の大行進にもだえ羞恥心に苦しみ、パニック状態にある彼らの心理状況を考慮してか、比較的わかりやすい、けれどあからさまではない実に微妙な場所に設置されていることが多い。桑原は”本屋便意症候群”患者ではないけれど、個人的には銀座7丁目の『福家書店』のトイレがお気に入りである。余談だが、渋谷文化村通りの『ブックファースト』の女子トイレはある位置に立つと個室に入っているオンナノコがほぼまる見え状態(!)になるという”スペシャル特典(?)付き”。自分が入る時はかなりドキドキなんだけど。

 そしてもうひとつ。またまたウ○コネタで申し訳ないのだが、コーヒーを飲むと○ンコしたくなる人…というのもいる。便秘でお悩みの婦女子などからみれば羨ましい限りだろうが、会社のお茶くみOLさんがユニマットになり、外を歩けば”カフェ”とやらが全盛の現代は”珈琲便意症候群”のいずれかに当てはまる読者諸君には、どう考えてもオススメできない場所…それが、”最近大幅リニューアルしてプチ発情中”な東京大丸6Fだ。の『BOOKS&CAFE SANSEIDO』だ。大手書籍販売の三省堂とUCCこと上島珈琲が手を組み新展開しているカフェを併設した本屋である。今までにも八重洲ブックセンター本店とか中に喫茶がある店舗はあったけど、ここのスゴいところは”買ってない本”をカフェに持ち込めること。つまり、お茶しながら堂々と”立ち(この場合は座り)読み”できるのだ。椅子と机を設置した”座り読み歓迎”系の本屋は関東圏でも珍しくなくなったけど、遂にお茶付きとはね…。もともとはアメリカから生まれたサービスらしいけど、日本でどうなのかナ…?

 エスカレーターで6Fに到着すると、微かに鼻孔をくすぐるコーヒーの香り。店内はダークグリーンとダークベージュを基調にした落ち着いた雰囲気。うう〜ん、”オトナの知的空間”ってカンジ? 何かこじゃれてるぅ〜。配分は本屋8割にカフェ2割といったところ。本屋部分はごく普通。ちょっとビジネス関連の書籍が多いかな? せっかく”お茶付き座り読み”できるんだから雑誌よりハードカバーの方がイイよね。で。前から読みたかった動物行動学者・竹内久美子著の”まじめえっち本”(笑)『シンメトリーな男』を手にいざカフェへ。

 平日の昼下がりだというのに席は7割ほど埋まっている。場所柄かサラリーマン風のオヤジが多い。こんな時間にコーヒーすすりながら『沈まぬ太陽』とか読んでていいにかよ〜!? カウンター席に座ると、シンプルな制服に身を包んだ店員のおねえちゃんがメニューとお水を持ってきた。メニューを開くと…。おおう結構本格的! ブルーマウンテンやコナ、ヨーロピアンなどその数10種類以上。しかも1杯づつサイフォンでいれてくれるらしい。サイズはたっぷりとレギュラーの2種類。たっぷりがあるということは、思いきり長居してイイってこと? ぐふふ〜。せっかくだから1番値段が高いハワイアンコナにしようかな、と思ったけど”焼き肉の法則”に従い一番安い350円の(ていうかハワイアンコナ以外全部350円なんだけど)エル・サルバドルを注文。

「お客様、砂糖とミルクをお選びいただけますか」…へ? 改めてメニューを見直すと、何と砂糖はダイエット甘味料・グラニュー糖・コーヒーシュガー・ペルシュ(=さとうきび)、ミルクは低脂肪・牛乳・クリームなどから自分の好みのものを選ぶことができるのだ。す、すごい…。桑原こんなの初めてっス。ペルシュ・ブラウンとクリーム42%をチョイス。おお、ガラス越に並ぶミニ・サイフォンの中で桑原のエル・サルバドルがコポコポいってましゅ〜。数ページ程読み進んだところで、お待ちかねのエル・サルバドルちゃんがはこばれてきた。客の目の前でサイフォンからカップに注ぐ。随分なみなみだなあ…。下に小皿ついてるお酒じゃないんだから(笑)。ではいただきます。うぅ〜ん。美味〜。本屋の片隅で適当にたってるんだろーとタカをくくっていた桑原さんが間違ってました。上島、けっこうやるじゃん! 350円で手に入る優雅(?)なひととき。何かハマりそ〜。

 ”うっ。な、なんかオナカが…。ト、トイレはどこ!? 空腹時にコーヒーは少々マズかったみたい…。はぅ〜(泣)。

  桑原用語の基礎知識

  ”焼き肉屋の法則”

 『上』や『特上』の肉が旨いのは当たり前、『並』の肉が旨い店こそが本当に旨い焼き肉屋である…。つまり、一番安い品物がその店のレベルを教えてくれる、ということ。ちなみに桑原はタン塩とハラミがお好き。気になるお店は新橋の『トラジ』、桜丘町の『台所屋』。行ったことある人いたら感想教えてくれい。

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