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1996年5月号掲載
written by 桑原ナオミ

東京DEEP番外編”魅惑のアジア”第二弾、欲望の渦巻く香港へ!!

番外編その2
香港


 日本のみなさんニーハオ。
『東京DEEP番外編”魅惑のアジア”』シリーズも晴れて第二回を迎えることができました。一発企画にならなくてよかったよぅ。TOM☆CATの二の舞になるのはごめんさっ(えっ、古い?)。

 ということで感動の(?)第二回は、自他共に認める”欲望の街”香港に行ってまいりました。

 ど〜でもいいが、自分達の国を”欲望の街”だって認めてるところが香港のイッちゃってる最大の原因だよね。東京周辺の”欲望の街”っていったら、どの辺かねえ。西川口、川崎、黄金町、五反田、歌舞伎町あたりかのぅ。
─話がズレてしまった。とにかく、桑原にとっては念願の香港行きだ。鼻息は荒い。何といっても今回のツアー、名前がいい。<JALで行くショッピング&グルメ香港4日間>!! しかもアッパーな(死語?)午前便。集合が午前8時ってのがちょっとキツかったけど、5時間後には桑原も”欲望の街”の住人となるのだウヒャヒャ。
─こうして午前10時、桑原を乗せた日本航空JAL731便は成田新東京国際空港より一路香港に向けて飛び立ったのである。

 げぷー。タダで飲むスカイタイムはうまいのう。甘露々々。運ばれてくるミールサービスはシャリのメシに蕎麦、食後にはあつ〜い緑茶。たとえそれらが学食以下の味だとしても、私は嬉しい。おまけに青竹踏みまで貸してくれるなんざぁ、粋じゃござんせんか。これからは、JALにしよっと。で、現地時間の午後2時(時差はマイナス1時間)、香港啓徳空港に到着。街のド真ん中に空港があるもんだから、着陸する時はもう屋根スレスレ状態。眼下に広がる香港の街並みを眺めていると………そ、そんな! 雨が降っている!! 今夜は『百万ドルの夜景とディナークルーズ』の日だというのに!!

飛行機から降りて再度ガクゼン。さ、さむい〜っ! おいっ、香港! 2月下旬の平均気温は16度じゃなかったのかよ! なんじゃこりゃあ!(by松田優作)息白いぞ!!

コートを着ているのも拘らずめちゃめちゃ寒い。添乗員A氏の話では、何と70年ぶり(!)の大寒波だとか。とんでもない時に来ちゃったなぁ。ま、いいか。とにかくホテルにチェックインしなくては。2時間後には、『百万ドルの夜景(でも雨)とディナークルーズ』なんだから………。─ううっ、寒い。海の上だから余計寒いっ。百万ドルの夜景を見ながらポッキー食べて、「ゴージャス」ってやりたかったのに! ポッキー四姉妹の長女清水美砂のよーに!! きいっ、くやしい〜!

 船に乗りこんだはいいが、デッキは極寒+雨風付きだし、室内は窓ガラスが曇って外が全然見えない。となると残る楽しみは『ディナー』しかない。見た目はけっこうおいしそう。これは期待できるかも。ええい、こうなったら食べまくってやるっ!
まずはひとくち。
………ま、まずい!?
そ、そんなバカな。おそるおそるもうひとくち。
…………やっぱり、まずい………。デザートは大丈夫だよね。ぱくっ。………どーにも、ま、ず、い〜!

 これは後日談なのだが、帰国後、友人Mに香港に行ってきたという話をしたら、即座に「ディナークルーズのごはん、超マズかったでしょ」と言われた。どーして行く前に教えてくれなかったのよお。

 明日は午前8時から一日観光だ。せめて雨がやんでるとイイなあ。

─翌日午前8時。う〜、眠い〜。性格なのか職業柄なのか早起きは大のニガテである。思考回路が働かないまま、バスに乗せられて某中華レストランへ。朝食のアワビ入りお粥をすする。
う、うまい〜っ。中華粥バンザイ。し、しかし………なぜか店内が異常に寒い。昨夜は寒波+雨+風のせいだけだと思っていたが、それは大きな間違いだった。な、何と店内のクーラーがガンガンに効いているのだ。おいおい、今は2月だぞ! 70年ぶりの大寒波の翌日の午前8時にクーラーガンガンにかけて、しかも風量『強風』モードったぁどうゆう事だい。

 昨夜の百万ドルの夜景もとい極彩色べかべかのイルミネーションといい、今朝の髪がばたばたとなびく程のクーラーの使い方といい、なんて電力を無駄使いする国なのだ、香港よ。『電気を大切にね。東京電力』のでんこちゃんが知ったらショック死するぞ!

 店の外にでてホッと一息。今日のお天気は曇りのようだ。バスに乗りこみ朝のシエスタ。暫しの間、おやすみなさ〜い……………。目が覚めるとビクトリアピークだった。香港島の都市部が一望できるお山。ただそれだけ。高い所に連れて行けば誰もが喜ぶ訳でも無し。夜は確かにキレイだけど、今は朝だし。箱根のほうがええぞ。お次は赤柱(スタンレー)へ。スタンレーはヨーロッパ人が多く住む街として知られ、東(アジア)と西(ヨーロッパ)が交錯する香港の中でも最もそれが色濃く現れている場所である。ここのマーケットは、なにもかもが安い。その中でも最も目をひくのが、香港の隠れた特産品”パチもの”である。特に赤柱はパチ服が多く、ここに来れば世界の(主に日本の)パチ服事情が一目でわかるといっても過言ではないだろう。ちなみに桑原が行った時には、”なんちゃってD&G”が最も強いオーラを放っていた。もう日本でD&Gを着ている人は信用できん。(この翌日、中環(セントラル)にあるD&G本店に行ってみたんだけど客が誰もいなかった。いとあわれ………)で、この赤柱のマーケットで思わず衝動買いしてしまたモノがある。それはっ、ソーラー付きキャップだ! てっぺんに付いてる太陽電池(とってもチープ)に陽をあてると、ひさし部分の扇風機(これまたチープ)がグルグルまわる………という『通販生活』に載っている”失敗作”みたいな帽子である。全体的にすっげぇアバウトなつくりをしているので、実用には「どーかな?」ってカンジだけど。店自体の建て方も超アバウト。でもって狭い。『超威電業公司』という店名とはあまりにもイメージが違いすぎるぞ! 結局このソーラー付きキャップ、3つも買ってしまった。しかも値切った。

 お次はレパレスベイへ。ここは映画『慕情』の舞台としても知られる香港人のリゾート地である。海辺にある天后廟にはタイルでできた極彩色の神様が。とても神様には見えないコミカルな顔立ちに幼稚園児のぬりえから飛び出してきた様な色彩センス。これさえ無ければオシャレなリゾート地なのだが。神様だから仕方がないか。

 昼食の飲茶は起鳳臺酒家(ザ・ヘイ・フォン・テラス)で。ヨーロッパの香り漂う斬新な味付けで知られる店らしい。俗に言うヌーベル・キュイジーヌってヤツね。しかし桑原にはヌーベル・キュイジーヌは理解不能だったよ。だってマズいんだもん。ヌーベル・キュイジーヌとは”日本人がマズいと思う味”と訳すのか? おいしかったのは最後のデザートの焼菓子(クッキー)だけ。店内の超豪華なトイレは水が流れなかった。

 午後九龍島の尖沙咀 (チム・シャー・ツイ)へ。憧れのペニンシュラホテルに行くざます。ペニンシュラのロビーにあるカフェはアフタヌーン・ティーのまっ最中。予想以上に混んでいる。しかもうるさい。おまけに日本人ばっかり。少々興ざめ。

 この日の夕食は北京料理で有名な北京樓(ペキン・ガーデン)で。やっぱり店内はクーラー効きまくり。おかげで今までに味わった事のない様な冷たい北京ダックを頂いた。
─ああ、スペースが足りない! まだ全日程の半分しか書いてないのにぃ〜。

 ということで次回もひき続き香港ネタをお送りいたします。

 それではこの辺で『東D』おひらき、また来月のお楽しみ。
再来、再来、再来。  日本のみなさん、サワッディー、サバイ・ディールー。もうどうにもアジアかぶれの桑原だ。

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