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#087 ばんがいち2002年5月号
written by 華戸小葉子

今頃何故某大型CDショップでフリッパーズギター?と思ったら日産マーチのCMソングなのね。ただしインストヴァージョン。
【Ecletic】小沢健二
1. ギターを弾く女
2. 愛について
3. 麝香
4. あらし
5. 1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)
6. ∞(infinity)
7. 欲望
8. 今夜はブギーバック/あの大きな心
9. bassline
10. 風と光があなたに恵むように
11. 甘い旋律
12. 踊る月夜の前に

total time57'41"

 あるいは誰もが諦めかけていた、オザケンの復活。もう随分前からNYに移り住み、しばらくはそこから日本のラジオ番組等もこなしていたのだがいつしか情報も無くなっていた。実に5年振りとなる本作は、基本的には休業中に1曲だけ出していたマーヴィン・ゲイのカヴァーの延長上にある。あまりにアダルトでエロチックな世界に、ファンは「でもカヴァーだから」と無理やり納得していた。でもこれはオリジナルなのだ。しかも大ヒット曲(8)までが、すっかり変身してしまっている。肥大してしまった王子様像からの脱却。極めてしまったポップス路線からの転向。年相応のラヴソングにふさわしいよう歌い方も変えた。拒否反応を示す人がいるかもしれない。だが小沢にとっては、今のスタイルこそが偽りのない姿なのだ。写真を見たが、苦しんだ様子はない。彼は自信を持っている。
東芝EMI TOCT-24711 ¥3059 2002/2/27
【ナタリー・ワイズ】Nathalie Wise
1. Light my…
2. Sigh
3. NO SIGNAL
4. 天と点
5. ロードマンはいつ眠る
6. コガラシ
7. New Words
8. ゆれていて,ふれていて,光あびて,眠るだけで,光けして,息をふきかけて

total tim42'42"

 ギリギリのバランスで成り立っていた美しい存在=トーキョーナンバーワンソウルセットの活動休止は本当に残念だった。理由は憶測になるので書かない。ともあれビッケが動き出した。新しいユニットは他にピアノとギター&ヴォーカル。バックトラックが生になった以外、変わってない?いや、バランスが違うのだ。ソウルセットの3人は1対1対1だったが、ナタリーワイズではビッケ中心な感じ。ピアノの斎藤哲也はビッケの同級生で気心知れた仲、そしてもう一人はあの高野寛である。年長らしく(?)裏方に徹している風である。そしてビッケも少し年をとった。詩がわかり易くなったのだ。あの文学青年の香りはもうないが、肩の力が抜けて緊張感なく聴けるようになった。これはピアノとヴォーカルがソフトなせいでもあるが。ともかく心地良いユニットの誕生である。
ピーエスシー MTCA-5002 ¥2500 2002/1/23
【明け行く空に 】What’s Love?
1. 泣けるほど(album mix)
2. 今年の夏(album mix)
3. 口笛
4. それとなく 悪びれず
5. アメリカ
6. ゆくりなく
7. 窓の外に映るのはあなた 8. 夜明けの散歩道
9. あの鐘を鳴らすのはあなた(What’s Love?と横山剣)
10. かえり路~the way back home~
11. 木綿のハンカチーフ

total time50'34"

 スカに歌謡曲を導入した最初のバンドは意外にもジャマイカのスタライツであった。その後スカパラに引き継がれたこの路線もクリーンへッド・ギムラの死と共に消えていった。ここに徹頭徹尾”歌謡スカ”なバンドがデビューする。ワッツ・ラブ。甘い名前だが男気溢れる3ピース。好きな車は、ジープらしい。インディーズ時代から『スカ帝国』なるイヴェントをオーガナイズしていて、昔行った事があるが対バンはポルカ、DJはオールジャンルでスカ含有率50%未満だった。だがそれこそがワッツ・ラブ。和田アキ子や大田裕美をカヴァー。ドレッドだが朴訥そうなヴォーカル。彼らの独特な姿勢に業界も大乗り、デビュー曲はなんとTV・ラジオ・映画のタイアップがついた。覚え易いメロディと30男の哀愁漂うルックスがそそる。スカ嫌いのあなたにこそ聴いて欲しい。
ワーナーミュージック・ジャパン  WPC6-10191 ¥2500 2002/1/23
【NiJi】玲葉奈

1. beautiful day
2. travellin'man
3. Sea shore(Long ver.)
4. Tone
5. ナツメロ(school ver.)
6. NITE CLUB
7. FREE YOUR SOUL
8. 風をあつめて
9. パパママリバティー
10. joint
11. Tone(DJ YOSHIZAWA REMIX)

total time61'10"

 あのはっぴいえんどをカヴァーしたり(8)、砂山オールスターズというユニットでサザンナンバーを歌ったりと、恐るべきレパートリーの持ち主であるレヨナの2nd。その秘密は声にある。スモーキートーン。ハスキーまで行かない。個性的なのに自己主張し過ぎない。だから色んな曲に合うのだ。性格もそうらしく、かつてスペースシャワーTVで司会をやってた時も、”天才ひげおじさん”アイゴの前で出しゃばらず、でもアシスタントというのでもない絶妙な立ち位置をキープしていた。メイクもすっぴんぽいし。だがどんな曲を誰とやっても、彼女の印象は変わらない。なにげに強いのだ。それが一番良く出ているのがポカリスエットのCMソング(2)であろう。カラオケで歌った時「レヨナになりたい!」と本気で思った。女が惚れる女性ヴォーカリスト。
徳ERJ EDCS-80011 ¥3059 2002/1/23
【FIRST】 JET LAG
1.introduction  
2.Acceleration
3.Dusk
4.Find a way (album version)
5.Squall is calling
6.Like a child 
7.Floater (album version)
8.Your reminiscence
9.Up、up to sky
10.Life
11.The sun rises and sets again

total time46'03"

 デビューアルバムというのは業界的には新人さんであるが、当然バンド的には結成からの歴史というものがある。それが聴けるのがインディーズ時代のCDだったりするのであるが、今回ジェット・ラグのメジャーデビューアルバムを聴いて、あまりの成長振りにびっくりした。って言うか既に完成されてんじゃん。ポストロック/シカゴ音響系に興味を持った時期もあったりしたみたいだが、今作は極上のポップスに仕上がっている。真綿(無漂白)のような女性ヴォーカル。女の子ならこれを聴いていて、いつもより少しだけチークのピンクを濃くしてみたり、素足で外に出たくなったり、新しい恋がしたくなったりするだろう。むろん男の子も。きっとうきうきする。やわらかい気持ちになれる、春って感じのサウンド。ジャケも飾っておきたくなるほど素敵。
ミンティー・フレッシュ・ジャパン mfJ-1013¥2400 2002/1/25

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