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#041 ばんがいち1998年6月号
written by 華戸小葉子

はみ出しグラマラス。パシフィッック231『ミヤシロ』は細野先生大推薦エキゾチックサウンド界に咲く平成のあだ花。買え。
【MIDNIGHT SKYWAY】ICE
1.ミッドナイト・スカイウェイ
2.キャント・ストップ・ザ・ミュージック
3.ワー・ユー・ゼア
4.ハウ・ドゥ・ユー・ライク・イット?
5.ブルース・ヴァイブレーション
6.ウィスパー
7.リヴィン・イン・ザ・シティ
8.FUNKYMUSICSHONUFFON
9.カム・トゥナイト
10.ピープル・ライド・オン
11.ソングバード

total time: 52'20"

 突然のライヴ中止等でファンをやきもきさせていたアイス、久々のアルバムである。いやあ待ったよほんとに。年に一枚出すという日本のシステムに賛成する気は毛頭ないんだけど、ただ、アイスは達成してしまったと思ってたから。商業的な意味でも、一世一代の名曲を生み出したという意味でも。お休みの間、多分宮内(G・詞・曲)は色々考えてただろうな。そして、考えて考えて考えた結果が、"変わらないこと"だったのだろう。それは"大胆な路線変更"より大変なことである。ずっとやってると、普通のファンより本人が先に飽きるから。だからマイナーチェンジをちょこちょこしつつ、本当に好きな音楽への愛もテンションも無くさずに続いていかなければならない。今回は国岡のヴォーカルスタイルに若干変化が見られて面白い。あと、宮内ももっと歌っていい。
東芝EMI TOCT-10215 \2854 1998/03/25

【BERLIN TRAX】石野卓球
1.ポリネシア
2.デジベル
3.ブギー Ku’damm
4.ストーンド・ディージェイ・ドント・ライ
5.T.E.C.(トランス・ヨーロッパ・センター)
6.タクシー・ファンク
7.Alles nach Nippon
8.BYKE
9.KGB 3:47am
10.コンガ・オ・マティック

total time: 64'55"

 石野卓球・30代の幕開けにふさわしい一枚である。ソロは2枚目。前作聴いてる人ならおわかりかと思うが、電気グルーヴのおちゃらけもセンチメンタリズムもロマンチストな部分も(そんなの感じてるの私だけか?)まったくない。ドイツレコーディング。一曲出来ると地元のクラブでかけて反応見て直す、なんて作り方だったらしい。ミュージシャンとして理想の形かも知れない。日本の、やたら何でもウケまくるファンはいないし。もちろんインストなので、リスナーの受け取り方によっていかようにもイメージは変わる。(1)のビデオクリップだと、小さなマンション・一家四人・ささやかなパーティー・ガス大爆発であるが。私はドイツっつうと黒髪のストイックな男性・若き日の淡い想いだな。一寸耽美はいりつつ。良いインストって、それでいいと思う。
キューン・ソニー KSC2-213 \3059 1998/04/01

【evil and flowers】Bonnie Pink
1.Evil and flowers(piano version)
2.Forget Me Not
3.Your Butterfly
4.Hickey Hickey
5.He
6.Eve’s Apple
7.金魚
8.Meddler
9.Masquerade
10.Quiet Life
11.Only For Him
12.Fallen Sun
13.Evil and flowers

total time: 45'30"

 ポップジャムでも爆笑問題に「かっこいー」と言われてた、ボニピの3rd。海外録音。というと聞こえは良いが、言葉のわかんない国に何ヵ月も閉じこもるのである。それもバンドならまだしも、一人で。やはり、日本にいる恋人に会いたくなる訳で。しかも途中から連絡つかなくなってしまって。そんな様子がよく出ている。歌詞の方は英語日本語取り混ぜだが、彼女の場合「海外で通用するように」ということともう一つ、「日本語だとキツい表現があるから」なのだそうだ。アルバムタイトルは「邪悪と花」。英語にするとある種のもの悲しさすらある。もっとも、"邪悪なお兄さん・海砂利水魚"だってアランジアロンゾの"わるもの"だって全然悪の香りはしないが。ちなみにボニピ、「古内東子のファン」をターゲットにおいてるそうだ。べつにドロドロはしてませんよ。
ポニーキャニオン PCCA-01190 \3059 1998/04/17

【シティポップスコレクションベスト35】V・A
ディスク: 1
1.キャラメル・ラグ(ティン・パン・アレー)
2.北京ダック(細野晴臣)
3.微熱少年(鈴木茂)
4.チョッパーズ・ブギ(ティン・パン・アレー)
5.愛は幻(大貫妙子)
6.荒涼(松任谷正隆)
7.蝶々San(細野晴臣)
8.Beep Beep Beオーライ(ムーンライダース)
9.夕焼け波止場(鈴木茂)
10.シー・イズ・ゴーン(ティン・パン・アレー)
11.ロー・オブ・ネイチャー(大貫妙子)
12.レイニー・ステーション(鈴木茂)
13.エレファント(ムーンライダース)
14.チュー・チュー・ガタゴト’75(細野晴臣)
15.煙草を消して(松任谷正隆)
16.8分音符の詩(鈴木茂)
17.エクゾティカ・ララバイ(細野晴臣)

ディスク: 2
1.ブラック・ピーナッツ(細野晴臣)
2.ソバカスのある少女(ティン・パン・アレー)
3.彼女について知っている二・三の事柄(ムーンライダース)
4.街(大貫妙子)
5.ジャクソン(ティン・パン・アレー)
6.スノーエクスプレス(鈴木茂)
7.鬼火(ムーンライダース)
8.絹街道(細野晴臣)
9.チャウ・チャウ・ドッグ(同)
10.無防備都市(ムーンライダース)
11.100ワットの恋人(鈴木茂)
12.気づいた時は遅いもの(松任谷正隆)
13.コルドバの夜(鈴木茂)
14.サマー・サンバ(前田憲男&ティン・パン・アレー)
15.風信子(ヒヤシンス)(鈴木茂)
16.ホンコン・ナイト・サイト(松任谷正隆)
17.都会(大貫妙子)
18.“Sayonara”ザ・ジャパニーズ・フェアウェル・ソング(細野晴臣)

total time: 134'58"

 フォークでもロックでもない日本70年代のポップス。クラブシーンで再評価されて久しいが、やはり一部のマニアの間だけという気がする。もったいない。とりあえず一枚聴いてから決めなさい。これなんかは捨て曲なし、時の流れなんて飛び越えまくりですよ。エキゾチック以前の細野晴臣って大滝詠一みたいなのやってたんだなあ、流石はっぴいえんど仲間。とか、鈴木茂っていい声してるよなあ、もっと歌ってくんないかなあ。とか、吉田美奈子があれだけもてはやされてんならこの頃の大貫妙子って負けず劣らずいいじゃん。とか、ムーンライダースって全然変わってねえなあでもいいし、松任谷正隆の歌声が聴けるってだけでもお買い得。1-15なんて思わずにやり。全プレイヤーのリストも欲しいところですが、このお値段でそこまで無理言っちゃいけませんね。
日本クラウン CRCP-28120~1 \3500 1998/03/18

【RE-EDIT】HOODRUM
1.クラシックス1(ニュー・エディット)
2.クラシックス2(同)
3.ハウ・ジャズ・イット?(フィラ・ブラジリア・リミックス1)
4.ハウ・ジャズ・イット?(G.F.Q.リミックス)
5.UN(ニュー・エディット)
6.ハウ・ジャズ・イット?(ハーバート・リミックス)
7.アルフレッド(ジュアン・アトキンス・リミックス)
8.ハウ・ジャズ・イット?(フィラ・ブラジリア・リミックス2)

total time: 67'10"

 これはテクノではない。いや、確かにテクノの機材を使って作られた音楽ではあるだろうが。石野卓球の1stソロにも参加した田中フミヤ、フードラム名義、初のフルアルバム。しょっぱなから一曲まるごとカモメの声だったりして、度肝をぬかれる。踊れない、けど癒し系でもない、明るくもないけど暗くもない、あらゆるジャンルに属すことを嫌っているかのようなサウンド。世界中のどの言葉でも表すことはできない。負けた、と思ってディスクマンにこのCDを突っ込んで街に出た。電車の中、波止場を思いおこさせる新宿南口テラス、そして歌舞伎町。家で聴いてる時にはしっくりこなかった音がぴったりハマった。これは街の音楽だったのだ。正確には街の雑音と一緒に聴いても邪魔になるどころか、むしろ完成される。日が落ちてからをお薦めしたい。
キューン・ソニー KSC3-911 \2548 1998/03/21


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